スリランカへの個人旅行を計画する際に気になるのが、「ベストシーズンはいつか」という点ですよね。スリランカ ベストシーズンと一口に言っても、実は地域によって最適な時期が異なります。
島国スリランカは日本の北海道ほどの大きさですが、赤道に近く熱帯性気候のため年間を通じて暑いものの、スリランカの気候は季節風(モンスーン)の影響で「乾季」と「雨季」が地域ごとにあります。
本記事では、スリランカ観光のベストシーズンについて、南西部と北・東部で異なる気候や、旅行の目的別(アーユルヴェーダ、サーフィン、世界遺産巡り、サファリ)のおすすめ時期を網羅的に解説します。
季節ごとの気温・降水量の比較表も交えながら、スリランカ観光のベストシーズンを徹底ガイドしますので、ぜひ旅程計画の参考にしてください!
スリランカの気候とベストシーズン概要
スリランカは熱帯性のモンスーン気候で、一年を通じて平均気温は高く(平地部で約27~30℃)、湿度も高めです。

ただし四季はなく、地域によって乾季(雨が少ない時期)と雨季(モンスーンによる雨の多い時期)が存在します。

大きく分けて、南西部(西海岸・南海岸)と北・東部(東海岸・北部および北中部)で気候パターンが異なります。

また中央高原地帯(キャンディやヌワラエリヤなど)は標高が高く涼しい気候で、降雨パターンも平地とは少し異なります。
- 南西部エリア(西~南海岸) – 赤道側からの南西モンスーンの影響を受け、雨季は4~6月と10~12月頃、乾季は12~3月頃です。特に5~6月と10~11月は雨量が多く、短時間のスコール(豪雨)が頻繁に発生します。一方、12~3月は晴天が多く安定した天気になります。
- 北部・東部エリア(北~東海岸) – ベンガル湾側からの北東モンスーンの影響を受け、雨季は10~翌3月頃、乾季は5~9月頃になります。雨季のピークは11~1月で、北・東部ではこの時期にまとまった雨が降ります。乾季の期間が南西部より長く、特に6~8月はほとんど雨が降らない年もあります。
- 中央高原エリア(内陸部~高地) – キャンディやヌワラエリヤなどの高原地帯は標高1500m以上の場所もあり、年間平均気温は15~20℃前後と涼しくなります。降雨は南西モンスーンの影響を強く受け、雨季は5~12月頃と長めです(特に5~7月と10~11月に雨が多い)。乾季は1~3月頃で、この時期は高原も比較的天気が安定します。
こうした気候区分から、スリランカ おすすめの旅行時期は一概に「この月!」と断言できません。
行きたい地域ややりたいことによってベストシーズンが変わります。ただ、一般的には南西部リゾートを楽しむなら乾季の12~3月頃、東海岸を楽しむなら乾季の5~9月頃が観光に適しています。
またスリランカ 気候は年によって多少変動するため、「○月は絶対雨」とは限りません。雨季でも1日中雨が降り続くことは少なく、スコールは短時間で止むため、時期を選べばオフシーズンでも観光を楽しめます。
以下、エリアごとの特徴とベストシーズンを詳しく見ていきましょう。
スリランカのエリア別のベストシーズン
それではスリランカを大きく南西部エリア、北部・東部エリア、中央高原エリアに分けて、観光のベストシーズンと各季節の特徴を解説します。さらに各エリアでの観光テーマ(ビーチ、世界遺産、自然観察など)にも触れながら、いつ行くのが最適かを見ていきます。
南西部沿岸エリア(コロンボ・ゴール・南海岸など)

コロンボを含む西海岸からゴールなど南海岸にかけての地域です。
世界遺産のゴール旧市街、美しいビーチリゾート(例:ベントタやモルディブにも引けを取らない砂浜)、ホエールウォッチングで有名なミリッサ、サファリが楽しめるヤーラ国立公園(南東部)への拠点など、見所満載のエリアです。一年を通じて観光客も多く、特に欧米からの避寒客が集まるリゾート地でもあります。
乾季(ベストシーズン): 11月末~3月頃が晴天率が高くベストシーズンです。12月~2月は真夏ほどの猛暑にはならず比較的過ごしやすい暑さで、海も穏やかになるためマリンスポーツやビーチ遊びに最適です。この時期は欧米の冬休みや年末年始休暇と重なり観光ハイシーズンとなります。ホテル料金は高めですが、天気の心配が少なく思い切り観光を楽しめるでしょう。「スリランカ観光 ベストシーズン」と聞いて多くの旅行会社がまず挙げるのがこの南西部の乾季です。
雨季(オフシーズン): 5月~10月頃が南西モンスーンによる雨季にあたります。特に5~6月は激しいスコールが頻発し、10月も季節の変わり目で天候が不安定です。とはいえ雨は主に夕方から夜間にかけて降ることが多く、日中は晴れる日もあります。7~9月は雨量がやや落ち着くため、この時期を**「穴場シーズン」として敢えて狙う手もあります。日本の夏休み期間でもある7~8月は欧米客が少なくホテルも比較的予約しやすいため、「夏の南部リゾート貸切気分」を味わえるかもしれません。ただし4月**だけは注意が必要です。4月は一年で最も気温が上がり酷暑となるため、南西部では観光どころではない暑さの日もあります。屋外観光は避け、冷房の効いた室内や高原避暑地で過ごすのが無難です。
このエリアで楽しめるテーマ:はビーチリゾート、マリンスポーツ、ホエールウォッチング(12~4月がシーズン)、世界遺産ゴール要塞都市散策、南部のアーユルヴェーダ施設体験、ヤーラ国立公園のサファリ等多岐にわたります。
特にホエールウォッチングは12~3月頃に南部沖(ミリッサ発ツアー)でシロナガスクジラに高確率で出会えます。ヤーラ国立公園のサファリも2~3月頃は乾燥して動物が水場に集まり見つけやすくなります(詳細は後述の「サファリのベストシーズン」で解説)。
雨季の時期は博物館見学やスパで過ごすなど計画すれば問題なく観光できます。雨季に当たる場合は、夕方のスコール時間帯に合わせてスパやアーユルヴェーダマッサージを予約しておくのもおすすめです。
北部・東部エリア(ジャフナ・トリンコマリー・東海岸など)

スリランカ北部のジャフナ半島周辺と、東海岸一帯(トリンコマリー、バティカロア、アルガンベイなど)が含まれます。こちらは乾燥した暑い気候が特徴で、ヤシの木が生い茂る手つかずのビーチや、カラフルなヒンドゥー寺院、古都の遺跡群が点在します。
観光客は西南部に比べると少なめですが、そのぶん素朴なスリランカの生活や文化に触れられるエリアでもあります。近年は道路事情も改善し、日本人旅行者にもじわじわ人気が出てきています。
乾季(ベストシーズン): 5月~9月頃が雨が少なく観光しやすいシーズンです。特に6~8月は快晴の日が多く、東海岸の海も穏やかで透明度が高いためシュノーケリングやダイビングに絶好のコンディションです。トリンコマリー沖では5~8月にクジラやイルカを見るホエールウォッチングも盛んで、高い遭遇率が報告されています。またアルガンベイ(アルガンベイ)は世界的なサーフスポットであり、東海岸が乾季となるこの時期にサーフィンのベストシーズンを迎えます。7~8月にはアルガンベイで国際サーフィン大会が開催されるほどです。北部のジャフナも同様に5月以降雨が減り始め、ジャフナ~マンナール周辺は7~8月にかけて乾燥が極まってほとんど雨が降りません。このため北部のベストシーズンは長く、一般的に1月~9月頃まで楽しめるとされます。特に5~9月は灼熱の太陽の下、真っ青な海と空が広がる北・東部らしい風景を満喫できるでしょう。
雨季(オフシーズン): 10月~翌2月頃が北東モンスーン(マハ・モンスーン)による雨季に該当します。雨季のピークは11~12月で、この時期は台風の影響で東海岸が荒れやすくなります。12月~2月は海が大荒れになる日もあり、マリンスポーツ目的の旅行には不向きです。ただし雨の降り方は一日中シトシト降るというより、激しい雷雨が断続的に発生するタイプです。1~2月になると雨量は落ち着き、晴れる日も増え始めます。東海岸では雨季でもタイミングを見計らえば海に入れる日もありますし、北部ジャフナに至っては10~12月以外ほぼ乾季同様なので、例えば年末年始(12月末~1月)でもジャフナ周辺はそれほど雨が多くない年もあります。実際、ジャフナは北東モンスーンの風向きの関係でモンスーンの影響を受けにくく、雨季が短い土地柄だと現地では言われています。このためジャフナでは1~3月も観光客が少ない穴場シーズンと言えるでしょう。なお北・東部の4月は雨季明けの端境期で、雷雨が発生する日もありますが、同時に暑季でもあり気温がかなり高くなります。特に4月後半は酷暑日の連続になるため、屋外活動は朝夕に限定するなど工夫が必要です。
このエリアで楽しめるテーマ:
ビーチ&マリンスポーツ(東海岸:5~9月が◎)
サーフィン(アルガンベイ:5~9月)
シュノーケリング(ニラヴェリなど)
世界遺産&古都巡り(ポロンナルワ、アヌラーダプラなど北中部の遺跡群)
ヒンドゥー寺院やTamil文化探訪(ジャフナ)
野生動物観察(カッチャンカディ湿地の渡り鳥など)
特に世界遺産巡りについては、シーギリヤやポロンナルワなど北中部の文化遺産は乾季にあたる夏場(6~8月頃)が遺跡観光しやすいです。雨季の11~12月は遺跡周辺もぬかるみやすく、また蚊など虫も増えるため避けたほうが無難でしょう。
ただし北中部は乾季の夏場は気温が非常に高く日差しも強烈です。遺跡登頂(シーギリヤ・ロックなど)は朝夕の涼しい時間帯に行い、日中は休憩するなど熱中症対策をしてください。
北部では7~8月に「ナルー祭り」と呼ばれるヒンドゥー寺院の大祭があり、この時期ジャフナ出身者が世界中から帰省し賑わいます。祭り見物目的なら7月中旬~8月が良いですが、ホテルや交通が混み合う点には留意が必要です。
中央高原エリア(キャンディ・ヌワラエリヤ・中央部高地)

スリランカ中央部の山岳地帯で、標高2000m級の山々が連なります。避暑地ヌワラエリヤや高原リゾートのエラ、仏教の聖地キャンディ(仏歯寺がある古都)などが代表的です。
このエリアは「スリランカの涼しい裏庭」とも呼ばれ、かつての英国人入植者も好んだ場所で紅茶畑が広がる美しい景観が魅力です。年間を通じて朝晩は冷え込み、南国にいながら春のような気候を味わえます。
乾季(ベストシーズン): 1月~3月頃が比較的雨が少なく、高原の爽やかな陽気を楽しめます。特に2~3月は山間部でも晴れ渡る日が多く、ハイキングや景勝地巡りに最適です。日中の気温も20℃前後と快適で、スリランカの他地域が暑い季節でも高原は避暑にぴったりです。キャンディも12~3月頃が過ごしやすく、湖畔の街歩きや周辺のシギリヤ等への観光拠点としてもこの時期が人気です。
雨季(注意点): 4月~12月は断続的に雨が続く傾向があります。特に5~7月は南西モンスーンが高原の南西斜面にぶつかり大雨をもたらし、霧に包まれる日もあります。10~11月も北東からの季節風が吹き込み、不安定な天気が続きます。ヌワラエリヤは5月から長い雨季に入り、年間降水量も非常に多い地域なので、この時期は観光はしづらいかもしれません。ただし雨季の高原は緑が一層鮮やかになり、滝や渓流の水量も増して迫力が増すという利点もあります。雨の日は紅茶工場見学やコロニアル風のホテルでアフタヌーンティーを楽しむなど、しっとりとした時間を過ごすのも一興です。キャンディでは8月に有名な「ペラヘラ祭(仏歯寺の仏歯行列)」が開催されます。ペラヘラの時期(例年7月末~8月上旬)は雨季の最中ですが、世界中から観光客が集まるため街は活気にあふれます。祭り優先なら敢えてこの時期に合わせてキャンディを訪れるのもありでしょう。
このエリアで楽しめるテーマ:
世界遺産キャンディの仏歯寺参拝
高山植物や滝めぐり(ホートンプレインズ国立公園など)
紅茶工場見学とティータイム
トレッキング(リトルアダムスピークやエラ周辺)
列車の旅(高原鉄道の絶景ルート)
高原の世界遺産「中央高地の森群」(ホートンプレインズ国立公園やピーク・ウィルダネス保護区)は雨季だと道がぬかるみますが、乾季の朝は澄んだ空気の中で希少な動植物に出会えるチャンスです。また高原では朝晩10℃以下に冷え込むこともあるので、乾季でもウインドブレーカーや薄手の上着を用意しましょう。日中との寒暖差が大きいため体調管理にも注意が必要です。
以上のように、スリランカは「どの地域を訪れるか」でベストシーズンが異なることがお分かりいただけたかと思います。
次章では、旅行の目的(興味)別に最適な時期をまとめます。アーユルヴェーダやサーフィンなど、特定の体験を狙っている場合はぜひ参考にしてください。
目的別:アーユルヴェーダ・サーフィン・世界遺産・サファリのベストシーズン
ここではスリランカ旅行で人気のテーマごとに、最適なシーズンや注意点を紹介します。**「スリランカ おすすめ」**の体験を最大限楽しめる時期をチェックしましょう。
アーユルヴェーダ体験におすすめの季節
スリランカは本場アーユルヴェーダの施術が受けられる癒やしの旅先としても有名です。

アーユルヴェーダリゾートやスパは年間を通じて利用できますが、実は雨季(モンスーン期)が施術には向いていると言われるのをご存知でしょうか?
古来、インドやスリランカでは雨季は「ヴァルシャ・リトゥ」と呼ばれ、体内の浄化に適した季節とされています。
- 伝統的には雨季がベスト: 6~9月頃の雨季は湿度が高く涼しいため、毛穴が開きやすくオイルや薬草の有効成分が身体に浸透しやすいとされています。雨音の中で施術を受ける環境は心身を落ち着かせ、デトックス効果も高まると言われます。実際、多くのアーユルヴェーダ施設で雨季限定の特別プログラムが組まれているほどです。さらに雨季は観光オフシーズンのため、宿泊費や施術費用が安く設定されている施設も多く、費用面でも雨季は狙い目です。現地の日本人スタッフのブログなどでも「雨季は安いからおすすめ」と紹介されています。
- 乾季は快適&要予約: 一方、気候的な快適さを求めるなら**乾季(特に12~2月頃)**が良いでしょう。この時期は暑さや湿度が和らぎ、観光シーズンでもあるため施設やセラピストの稼働も万全です。ただし人気リゾートは満室になりやすいので早めの予約が肝心です。乾季は各地で祭典も多く、観光とアーユルヴェーダを両立させやすいメリットもあります。
まとめると、本格的に心身を整えるアーユルヴェーダを受けるなら伝統に従って雨季(オフシーズン)にじっくり滞在するのがおすすめです。
雨で観光しづらい分、読書やヨガにふけりつつ施術に集中できます。一方、「リゾート気分も味わいたい」という場合は乾季の快適な時期に訪れ、ビーチ沿いのホテルで観光の合間に施術を受ける形でも十分リフレッシュできます。なお雨季・乾季いずれにしても施術後は体力を使うため、無理な観光予定は入れずゆったり過ごすのがアーユルヴェーダ滞在成功のコツです。
サーフィンに最適なシーズン

スリランカは年間を通じてサーフィンが楽しめるサーファー天国です。
ただし、モンスーンの風向きにより季節によって波が立つエリアが変わる点がユニークです。大きく「南西部(西~南岸)」と「東海岸」でサーフシーズンが二分されます。
- 南西部のサーフシーズン(冬): ヒッカドゥワ、ウェリガマ、ミリッサなど西~南海岸の有名ブレイクは、11月~4月にかけてがシーズンです。特に12月~3月は北東モンスーンの影響で西南岸にはオフショア(陸から海への風)が吹き、波がクリーンに整います。この時期、ヒッカドゥワのリーフブレイクやウェリガマのビーチブレイクには世界中のサーファーが集います。ポイントによって初心者向けから上級者向けまで揃っているので、自分のレベルに合った場所で楽しめます。海水温も高くラッシュガード一枚でOKなのも魅力です。
- 東海岸のサーフシーズン(夏): アルガンベイ(Arugam Bay)を中心とした東海岸エリアは、5月~9月がサーフシーズンになります。南西モンスーンによってこちら側はオフショアが吹き、特に6~8月には世界クラスのロングライトの波がブレイクします。アルガンベイの「メインポイント」は中上級者向けですが、近隣のホールズトンプやピーナッツファームなどは初心者でも挑戦可能なスポットです。シーズン中は国際大会やイベントも開催され、町全体がサーフィン熱に包まれます。東側は乾季で晴天が続くため、波待ちしている間にイルカが見られることもあり、自然豊かな雰囲気でサーフィンを満喫できます。
このように「冬は南西部、夏は東海岸」という形で、一年のどの時期でもどこかでベストウェーブに出会えるのがスリランカの強みです。
もし1~3月頃に旅行するなら南岸へ、7~8月ならアルガンベイへというように計画しましょう。5月や10月のような端境期はやや不安定ですが、5月前半なら南西部後半なら東海岸、といった具合に分けて滞在するのも手です。
なお雨季オフシーズンのエリアでも全く波が無いわけではなく、一部サーフポイントは通年楽しめます。ただしオフシーズンは風向きやコンディションが悪く上級者向けになることが多いので、安全を第一に考えてください。
現地のサーフショップやスクールで情報収集すると、その日のベストポイントを教えてもらえます。
世界遺産巡りにおすすめの時期

スリランカには8つの世界遺産があり、古都の遺跡や神秘的な仏教遺跡群を巡る旅も人気です。
そのうち文化遺産は6つ(アヌラーダプラ、ポロンナルワ、シーギリヤ、キャンディ、ゴール旧市街、ダンブッラの石窟寺院)で、自然遺産は2つ(シンハラジャ森林保護区、中央高地の森群)です。世界遺産巡りのベストシーズンは、その場所の気候帯に依存します。
- 古都・遺跡(北中部の乾燥地域): アヌラーダプラやポロンナルワ、シーギリヤなど北中部の遺跡群は、乾季にあたる6~9月がおすすめです。雨が少なく遺跡観光しやすいだけでなく、7~8月はミンネリア国立公園で象の大集合(エレファント・ギャザリング)が見られる時期でもあり、一緒に楽しめます(後述サファリ参照)。12~3月も気温が若干下がり観光しやすいですが、北東モンスーンの影響で11~12月は雷雨の日がある点に注意しましょう。遺跡散策は基本的に屋外で日陰が少ないため、晴天時は朝夕の涼しい時間を狙い、帽子・日焼け止め・水分補給を忘れずに。乾季でも4月や9月の真昼は酷暑となるので要注意です。
- 仏教寺院・聖地: キャンディの仏歯寺は前述のとおり12~3月が雨も少なくベストです。ペラヘラ祭の時期(7~8月)は雨季でも訪問者が非常に多いので、祭りを目的としないなら避けた方が無難でしょう。ダンブッラの石窟寺院(こちらも北中部)は乾季である夏~秋口が適しています。雨季の石段は滑りやすく危険なので注意が必要です。
- 植民地時代の建築: ゴール旧市街(南部海岸)は11~3月の乾季が街歩きに最適です。雨季のゴールも風情がありますが、スコールに備えて雨具を携行しましょう。コロンボのコロニアル建築群も同様に乾季が歩きやすいです。
- 自然遺産の森・高地: シンハラジャ森林保護区(南西部の熱帯雨林)は1~3月頃が比較的降雨が少なくトレッキングしやすいです。とはいえ元々雨の多い原生林なので、カッパや防水の靴で臨みましょう。中央高地のピーク・ウィルダネス(スリー・パーダ=聖ピーター山など)も12~3月が登山適期です。4~11月は雨だけでなくヒル(ヒルという小さな吸血ヒル)が発生するので、薄手の長袖長ズボン・スパッツ着用がおすすめです。
スリランカの世界遺産は北中部と南西部に集中しているため、12~3月または6~8月あたりに旅程を組むと各地巡りしやすいでしょう。
前者は南西部の乾季と北中部のシーズンオフが重なりますが、北中部も1~3月はそこまで雨が多くないため周遊可能です。後者は北中部乾季&南西部雨季となりますが、例えば7月に遺跡巡り→その後東海岸ビーチでフィナーレ、という組み合わせもアリです。
どの季節でも一長一短ありますが、遺跡は雨よりも暑さ対策の方が重要ですので、日程調整が効くなら猛暑期を避けた時期を選ぶのがポイントです。
サファリ(野生動物観察)にベストな時期
スリランカには20以上の国立公園があり、野生のゾウやヒョウ、クジャクやクジラまで様々な動物を見ることができます。

代表的なサファリスポットとしては南部のヤーラ国立公園、ウダワラウェ国立公園、北西部のウィルパットゥ国立公園、北中部のミンネリア国立公園などがあります。
サファリに関しては、乾季がベストシーズンです。理由はシンプルで、乾季には水場が限られるため動物が集まりやすく、茂みも少なくなるので発見しやすいからです。
- ヤーラ国立公園(南東部): スリランカで最も人気のサファリスポット。特にヒョウ(スリランカヒョウ)の高密度生息地として知られます。ヤーラは例年2月~7月が乾燥し動物遭遇率が高くなります。中でも5~8月は「ピーク・ワイルドライフシーズン」と呼ばれ、乾ききった水辺に象やシカ、ヒョウが集まる姿が見られます。5~6月は観光客も比較的少なく、静かな環境でゆったり観察できるので狙い目です。逆に10~12月は北東モンスーンによる雨期で、公園内もぬかるみやすくなります。10月中旬~11月にかけては一時的に閉園する場合もあるので、この時期は避けましょう(各年の気候により異なるので事前に要確認)。ヤーラは人気ゆえハイシーズン(特に12~3月と7~8月)はジープ渋滞になることもあります。混雑を避けたいなら5~6月や9月初旬が穴場です。
- ミンネリア&カウドゥッラ国立公園(北中部): シーギリヤ近郊に位置する公園で、8~9月にかけてのゾウの大集合(エレファント・ギャザリング)が有名です。乾季の終わりにあたるこの時期、水源である貯水池の周りに100頭を超えるアジアゾウの群れが集まる光景は圧巻です。よって観光ベストシーズンは7~9月となります。雨季に入る10月以降はゾウたちも森に散らばってしまうため、このイベント狙いなら乾季後半に訪れましょう。北中部の他の公園(例えばワスガムワ国立公園など)も同様に乾季が動物観察しやすいです。
- ウダワラウェ国立公園(南部): 通年ゾウの遭遇率が高いことで知られますが、こちらも12~3月と5~8月の降雨が少ない時期がベターです。アクセスしやすいので雨季でも運が良ければ見られますが、泥濘になるとジープが入れないエリアもあります。
- ウィルパットゥ国立公園(北西部): スリランカ最大の公園でヒョウやクマの生息でも有名です。2月~6月頃が乾季に当たりベストですが、7~8月もまだまだチャンスがあります。10~12月は降雨が多いので避けるのが無難です。
- 海洋生物(ホエール&ドルフィン): サファリと言えば陸上動物が浮かびますが、スリランカはクジラ・イルカウォッチングも盛んです。南部ミリッサ発のホエールウォッチングは12~4月がシーズンで、世界最大のシロナガスクジラやマッコウクジラに高確率で遭遇できます。一方、東部トリンコマリー発は5~8月がシーズンで、こちらでもシロナガスクジラを見るチャンスがあります。西部カルピティヤでは11~4月にイルカの大群を見ることができます。海洋系もやはり海が穏やかな乾季がシーズンです。
まとめると、サファリ目的なら基本的に各エリアの乾季に合わせるのが吉です。
南部ヤーラなら冬~春先または初夏、北中部なら夏~初秋が狙い目です。特定の動物にフォーカスするなら、その生態に合った時期を調べておくと良いでしょう(例:ヒョウは暑い昼間は姿を見せにくく、涼しい明け方や夕方に活動的なので早朝サファリが効果的です)。
なお、ヤーラなど一部の大規模公園は年間で1ヶ月程度クローズ期間を設けることがあります。これは繁殖期の静穏確保や環境保全のためですので、旅行前に公式情報をチェックしましょう。
以上、テーマ別に見てきましたが、スリランカは動物から文化まで実に多彩な魅力があり、「何を優先するか」で最適な訪問時期が変わります。次の項では、季節ごとの気候データを比較しつつ、全体像を把握できる一覧表を掲載します。
スリランカ季節別・地域別の気候とおすすめエリア比較表
スリランカの主要エリアについて、季節ごとの天候とおすすめ度をまとめた表です。旅行時期検討の参考にしてください。
季節(期間) | 南・西部沿岸(例:コロンボ) | 北部・東部(例:トリンコマリー) | 中央高原(例:ヌワラエリヤ) |
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12月~3月頃 (北東モンスーン期・南西部は乾季) | 乾季(ベストシーズン)晴天多く観光に最適。海も穏やかでビーチ◎。※1月~2月は特におすすめ | 雨季(オフシーズン)北東モンスーンにより雨が多い。特に11~12月は大雨に注意。ただしジャフナは雨季短め。 | 乾季(ベストシーズン)雨が少なく爽やかな陽気。ハイキングや街歩きに◎。朝晩冷えるので防寒を。 |
4月頃 (季節の端境期・暑季) | 暑季(注意)一年で最も暑く、高湿度。屋外活動は午前・夕方に限定推奨。スコールあり。 | 雨季の終わり徐々に雨が減るが雷雨ある。気温上昇し蒸し暑い。 | 雨季の始まり夕立増える。不安定な天気。キャンディでは新年祭(4/13-14)あり賑やかだが移動要注意。 |
5月~8月頃 (南西モンスーン期・東部は乾季) | 雨季(オフシーズン)南西モンスーン本番。特に5~6月雨多い。7~8月は雨量減り比較的観光可。欧米客少なく穴場。 | 乾季(ベストシーズン)快晴が続き暑いが観光◎。海の透明度高くマリンスポーツに最適。アルガンベイでサーフィン大会開催。 | 雨季(オフシーズン)5~7月は大雨多く霧も発生。エラなどは緑濃くなる。キャンディは比較的観光可だが断続的に雨。 |
9月~11月頃 (南西モンスーン明け~北東モンスーン開始) | 乾季へ移行9月は南西部の雨が収まり天候持ち直す。10月は短い中間期で夕立多い。11月後半から晴天安定し出す。 | 雨季へ移行9月はまだ乾季で観光◎。10月中旬以降雨増加、11月は雨季本格化。 | 雨季(後半)10~11月は雷雨多く不安定。ペラヘラ祭(キャンディ、例年8月)明けで観光客減少。 |
※上記はあくまで目安です。年によってモンスーンの強さやタイミングは変動します。最新の天気予報や現地情報も参考にしてください。
表から分かるように、スリランカは一年を通じてどこかしらでベストシーズンが存在するため、上手に地域を選べばいつ行っても楽しめる国です。「ベストシーズン=日本の冬」とよく言われますが、それは南西部リゾートに限った話。反対に日本の夏休み期間でも東部や北部なら見どころ満載なのです。
まとめ
最後に、本記事のポイントをまとめます。
- スリランカのベストシーズンは一概に○月とは言えず、地域によって異なる。南西部(コロンボやゴール)は12~3月が乾季でベスト、一方で北部・東部(トリンコマリーやジャフナなど)は5~9月が乾季でベストシーズンになります。中央高原は1~3月頃が過ごしやすいです。
- モンスーン(季節風)と上手に付き合おう。南西モンスーン(5~9月)は西南海岸に雨をもたらし、北東モンスーン(10~1月)は東岸と内陸に雨をもたらします。このため「雨季のエリアを避け、乾季のエリアへ行く」という発想で旅程を組むと良いでしょう。特に短期の旅行では天気の良い地域にフォーカスするのがおすすめです。
- 旅行の目的別に最適な時期を考える。ビーチリゾート重視なら南西部の乾季、サーフィンなら季節に応じて海岸を選択(冬は南西・夏は東)、アーユルヴェーダなら敢えて雨季、世界遺産巡りやサファリも各地の乾季……というように、自分のやりたいことに合わせて時期とエリアを決めましょう。本記事で紹介したとおり、それぞれのテーマに応じたベストシーズンがあります。
- オフシーズンのメリットも見逃さない。雨季だからといって旅行をあきらめる必要はありません。雨季の南部は観光客が減りホテル料金も下がりますし、雨が降るのは一日の一部だけということもしばしばです。むしろ雨季ならではの体験(緑が生い茂る景色、静かな寺院巡り、安価なアーユルヴェーダ滞在など)もあります。「ベストシーズン」だけにこだわらず、敢えて人の少ない時期にゆったり楽しむのもスリランカ通の旅と言えるでしょう。
- 最新情報の確認を!気候変動や年によるずれもあり、モンスーンの時期が多少前後する場合もあります。また国立公園の閉園情報やお祭りの日程変更なども起こりえます。渡航前には在スリランカ日本大使館や観光局、現地ツアー会社等から最新の情報を入手するようにしてください。
スリランカは「どの季節でも必ず何かがベストシーズン」と言える懐の深い旅先です。乾季の青空の下で黄金のビーチに寝そべるも良し、雨季のしっとりした空気の中でお寺やスパで心洗われるも良し。
それぞれの時期の魅力を享受しつつ、ご自身にとってのスリランカ おすすめの旅を計画してみてください。きっと四季折々ならぬ「二つのモンスーン折々」のスリランカが、忘れられない思い出を与えてくれることでしょう。良い旅を!