スリランカは世界遺産めぐりや、アーユルヴェーダを目的に旅行される方が多いですが、サファリも外せません。
特に家族連れの場合であれば、子供たちが喜ぶのは間違い無いでしょう。日本には生息していない動物を大自然の中で鑑賞することができるのは非常に貴重な経験になります。

スリランカ国内にはサファリ体験ができる国立公園がいくつも点在しています。


その中で、最も有名なのがヤーラ国立公園です。


スリランカ南東部の海岸沿いに広がるヤーラ国立公園は、同国で2番目に大きい国立公園であり、年間を通じて世界中から多くの観光客が訪れる人気No.1のサファリスポットです。
ヤーラ国立公園とは?その魅力とは
ヤーラ国立公園はスリランカヒョウ(レオパード)の生息密度が世界有数とされ、約40~50頭ものヒョウが棲息しているといわれます。





このため野生のヒョウに出会える公園として名高く、ジープサファリでは高確率でヒョウの姿を探すスリリングな体験ができます。



ただし相手は野生動物のため、出会えるかどうかは運次第であり、複数回サファリに参加してもヒョウに遭遇できない場合もあります。
ヤーラ国立公園の魅力はヒョウだけではありません。
園内にはスリランカゾウ、スリランカナマケグマ(※通称スリランカ・スロスベア)、水牛、イノシシ、シカ(アクシスジカ)やクロコダイル(ワニ)、オオトカゲ、サル、クジャクをはじめとする鳥類など 44種の哺乳類と215種以上の鳥類 が生息しており、動物の種類の豊富さこそが最大の魅力です。


まさに野生動物の楽園であり、一度のサファリで象や鳥の群れ、ヒョウなど様々な生き物に出会える可能性があります。広大な敷地内は森林、草原、潟湖、さらにはインド洋に面したビーチまで多彩な景観を含み、海岸線とジャングルが隣接する独特の自然環境もヤーラならではの見どころです。



ジープに乗って未舗装の赤土道を駆け抜けながら、大自然と野生動物に間近で触れ合える体験は、子どもから大人まで冒険気分を味わえることでしょう。


なお、ヤーラ国立公園は面積約979㎢にも及ぶ広大な区域が5つのブロックに区分けされています。一般の観光サファリで主に訪れるのは南西部のブロック1で、このエリアが特に動物遭遇率が高い人気エリアです。
ただし毎年9月頃には環境保護のため主なブロック(ブロック1)が約1~1.5か月間閉鎖されます(その間は他エリアの限定サファリのみ実施)。訪問計画時には公園閉園期間に当たらないか事前確認が必要です。
ベストシーズンはいつ?乾季の理由と注意点
ヤーラ国立公園を訪れるベストシーズンは、雨季明けの乾季(おおむね2月~6月頃)です。この時期は園内の水場が少なくなり、動物たちが残り少ない水飲み場に集まりやすくなるため、サファリ中に野生動物を発見しやすくなります。





特に乾季後半の5月~7月頃は水源が限られ、ヒョウやゾウを含む大型動物の行動範囲が水辺周辺に集中しやすいことから「ベストシーズン」として推奨されています。



実際、乾季には大型哺乳類の目撃率が高まるとのデータもあり、多くの旅行者がこの時期を狙って訪れます。
一方、雨季(特に11月~12月頃)は大雨により園内の道がぬかるみ、サファリジープが立ち入れない区域も出てくるため注意が必要です。また先述の通り9月~10月初旬に公園主エリアが閉鎖される年もあるため、9月の訪問は避けた方が無難です。
閉園期間明け直後の10月下旬~11月前半も雨季と重なることが多く、路面状況によってはサファリ体験が制限される可能性があります。



なお、ヤーラでサファリを行う時間帯は早朝と夕方が中心です。動物たちの活動が活発になる朝の涼しい時間帯(開始6時前後)や日没前後(15~18時頃)が狙い目とされ、多くのジープツアーはこの時間帯に合わせて催行されます。



真昼は猛暑となり動物も日陰に隠れることが多いため、避ける方がよいでしょう。また日中は紫外線が強烈なので、朝夕のサファリ時でも長袖や帽子、日焼け止めなどの紫外線対策、水分補給を忘れずに準備してください。
ヤーラ国立公園への行き方
ヤーラ国立公園へのアクセスは、大きく分けて (1) 専用車/タクシーチャーターを利用する方法 と (2) 公共交通機関を組み合わせる方法 があります。
スリランカは鉄道やバスが全国に張り巡らされていますが、ヤーラ周辺は主要都市から距離があるため、効率や快適性を重視するなら専用車での移動がおすすめです。
専用車・チャータータクシーで行く方法
スリランカの玄関口バンダラナイケ国際空港(コロンボ近郊)からヤーラ国立公園までは、南部高速道路と一般道を乗り継いで約4.5時間(約300km)の道のりです。
以前は所要6時間以上かかりましたが、高速道路網が南東部まで延伸されたことで現在は大幅な時間短縮が実現しました。コロンボ市内から南下して世界遺産の街ゴールを経由し、マータラを過ぎて高速を降りた後、タンガルやティッサマハーラマ(後述)方面へ一般道を進むルートが一般的です。





運転に自信がある場合はレンタカーも可能ですが、スリランカは日本と同じ左側通行とはいえ道路事情が悪く運転マナーも異なるため、旅行者にはドライバー付きチャーターの利用が安心です。



特に日本人旅行者には、日本語で予約・相談できる政府公認のチャータータクシーサービスの利用が人気です。例えばスリランカタクシーサービスはスリランカ政府公認の現地会社が運営し、7年連続で日本人利用実績No.1を誇る信頼性の高いタクシーチャーター会社です。


英語やシンハラ語での現地交渉不要で事前に日本語予約できるため、初めての方でも安心して利用できます。チャーター料金はチャーター日数によって以下のように決められています。


長距離移動ではありますが、途中で観光スポットに立ち寄るアレンジも可能なのでスリランカ旅行には欠かせません。ヤーラ国立公園観光がてら、ゴールなどに立ち寄ったり、アーユルヴェーダを組み合わせることも可能になります。
公共交通+タクシーを組み合わせる方法
一方、費用を抑えて公共交通機関とタクシーを組み合わせて移動することも可能です。鉄道の場合、ヤーラ方面へ直接向かう路線はありませんが、コロンボから南部マータラ駅までは鉄道(南部線)が通じています。


マータラ以東は鉄道網が未整備のため、マータラで下車後にタクシーやバスでヤーラ方面へ向かうルートがあります。例えばコロンボ駅~マータラ駅は特急列車で約2.5時間、二等席で片道600~800ルピー程度です。マータラからヤーラ最寄り町のティッサマハーラマまでは車で約2時間強となります。
長距離バスを利用する場合、コロンボのペター局発着の長距離路線バスでティッサマハーラマ(通称ティッサ)行きが運行しています。終点はさらに先の巡礼地カタラガマまで行く路線あり。


所要約6~7時間で運賃は数百ルピーと格安ですが、途中で乗客の乗降が頻繁にあり時間通りに着かないことも多いため、余裕を持った行動が必要です。またバス車内は冷房が無かったり満員で長時間立ちっぱなしの可能性もあるため、体力に自信のあるバックパッカー向けと言えます。



現実的なプランとしては、高速バスとタクシーを組み合わせる方法もあります。例えばヤーラ滞在後にコロンボへ戻る際、現地発着のタクシーで高速道路沿いの町まで移動し、そこからエアコン付き高速バスに乗り換えるという方法です。
スリランカ南部高速道路はマータラやハンバントタ付近からコロンボ郊外まで伸びており、例えばティッサマハーラマから約1.5時間タクシーでタンガル高速バス停まで移動し、その後2時間弱高速バスでコロンボ郊外のマクンブラまで移動するといったルートがあります。
実際にこの方法で所要約4時間(タクシー約1.5h+バス約2.5h)と、全行程をバスで行くよりかなり短縮できた事例もあります。タクシー代とバス代を合わせた費用もそれぞれ約12,000ルピー+1,200ルピー程度(合計約13,200ルピー=日本円で約6,000~7,000円)と、チャーター直行に比べ割安です。
時間と手間はかかりますが、「長距離は高速バス、ラスト数十キロをタクシー」という組み合わせは移動費を抑えたい個人旅行者にとって有力な選択肢でしょう。
なお、ヤーラ国立公園へ直接乗り入れる公共交通はありませんので、いずれにせよ拠点となる町まで行く必要があります。一般的にはヤーラ北側の町ティッサマハーラマ(Tissamaharama)に宿泊し、翌早朝にホテル発のジープサファリに参加するスタイルが多いです。



ティッサマハーラマは公園から車で30分ほどの距離にあり、レストランやホテルが集まるサファリ観光拠点の町です。ヤーラに向かう大半の旅行者はティッサに滞在するため、逆にこの町でジープサファリの申し込みも簡単にできます。



バス移動の場合も最終目的地はティッサマハーラマで下車しましょう(カタラガマ行きバスの場合は一つ手前のティッサで降車可能です)。
ヤーラ国立公園周辺の観光スポット
ヤーラ国立公園とその玄関口ティッサマハーラマ周辺には、サファリ以外にも訪れてみたい文化・自然スポットが点在しています。以下に周辺の主要観光スポットをまとめます。
カタラガマ(Kataragama)
ヤーラから車で約1時間、西隣に位置するスリランカ有数の聖地の町です。
ヒンドゥー教の戦神スカンダ(カタラガマ神)を祀るカタラガマ寺院と、紀元前6世紀建立と伝わる仏教寺院キリ・ヴィハーラの白亜の大仏塔がランドマークとなっています。


宗教・民族を超えて厚い信仰を集める巡礼地であり、特に毎年7月~8月に開催されるエサラ祭(ペラヘラ祭)の時期には国内外から無数の巡礼者で賑わいます。
祭り期間中は像舎を引いた華やかなパレード(ペラヘラ)や火渡りなどの伝統儀式が連夜繰り広げられ、一見の価値があります。
ティッサマハーラマ(Tissamaharama)
通称ティッサ。ヤーラ観光の拠点となる町で、古代王国ルフナ(ローハナ)時代の都でもありました。
町の中心には周囲2kmほどもある大きな人造湖ティッサ湖(ティッサウェワ)が広がり、水辺では多種多様な水鳥の姿を観察できます。
夕刻には湖畔に沈む夕日が美しく、ボートサファリで野鳥やワニを探すアクティビティも人気です。また町には紀元前3世紀に創建されたと伝わる高さ55mの巨大仏塔ティッサ大ストゥーパがあり、その威容は遠方からでも確認できます。歴史好きならティッサマハーラマ寺院や隣町キリンダの遺跡群なども含めて訪ねてみると良いでしょう。
ブンダラ国立公園(Bundala National Park)
ヤーラの西約30kmに位置する湿地帯の国立公園で、ラムサール条約にも登録された国際的重要湿地です。
面積は小さいものの水鳥の楽園として知られ、特に越冬に飛来するフラミンゴ(フラミンゴの群れ)が見られることで有名です。公園内には197種以上の鳥類が確認されており、その多様性はスリランカ随一です。
野鳥観察が目的ならヤーラよりもブンダラの方が適しており、乾季には水辺に数百羽のフラミンゴが群れる壮観な光景に出会えることもあります。ブンダラでもジープサファリが可能ですが、観光客が少なく静かに楽しめる穴場スポットです。
キリンダ(Kirinda)
ティッサマハーラマから南へ約10km、インド洋に面した小さな漁村です。岸辺の岩山の上に佇むキリンダ寺院(Kirinda Vihara Maha Devi Temple)からは、青く広大なインド洋とヤーラ方面の海岸線を一望できます。


この寺院は古代シンハラ王朝の王女ビハラマハデヴィの伝説で知られ、津波を鎮めるため海に身を投じた王女が流れ着いた場所とされています。境内には勇敢な王女の像が立ち、地元民の信仰を集めています。爽やかな海風が吹く夕暮れ時の景観は特に美しく、写真撮影にも最適です。
海岸は波が荒いため遊泳には不向きですが、人影まばらなビーチで南国の海の雰囲気を味わうことができます。
この他にも、ヤーラ公園内には古代僧院跡のシトゥルパフワ寺院(Situlpawwa)やマグル・マハー・ヴィハーラ寺院といった歴史的遺跡も存在します。これらは公園内の特定エリアにあり通常のサファリルートからは外れますが、興味があれば現地で特別手配のジープツアーを相談してみると良いでしょう。
ヤーラ周辺は野生動物だけでなく文化・歴史の見どころも豊富なエリアですので、時間に余裕があれば幅広く探索してみてください。
ヤーラ国立公園近くの高級ホテル比較
ヤーラ国立公園周辺には、サファリの拠点となるラグジュアリーなホテルやリゾートが点在しています。ここではその中でも特に人気・評価の高い高級ホテル5軒を取り上げ、価格帯・特徴・公園へのアクセスを比較表にまとめました。サファリ体験を贅沢な宿泊とともに楽しみたい方は、ぜひホテル選びの参考にしてください。
ホテル名(所在地) 価格帯(1泊) | 特徴・設備 | ヤーラ公園へのアクセス (距離・所要) |
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ジェットウィング・ヤーラ (Jetwing Yala) パラトゥパナ地区 約$150~300(約2~4万円) ※季節・部屋タイプにより変動 | 海とジャングルに囲まれた大型リゾートホテル。広大な敷地に客室棟やインフィニティプール、スパ完備。建築家ムラド氏デザインによる洗練された空間で、ビーチとサファリを一度に満喫可能。夜間には野生動物が敷地内に現れることもありスリル満点。環境に配慮したエコリゾートでもある。 | ヤーラ公園メインゲートまで車で約15分(約6km)。公園隣接の立地で、早朝サファリ出発にも便利。 |
シナモン・ワイルド・ヤーラ (Cinnamon Wild Yala) パラトゥパナ地区 約$120~200(約1.5~3万円) | ヤーラ公園目前の立地を誇るリゾートホテル。ジャングルに溶け込むようなシャレー(独立コテージ)形式の客室には無料Wi-Fiやエアコン完備。屋外プール、オープンエアのレストラン&バーなど設備充実。夕暮れ時にはホテル敷地内に野生の象やイノシシ、シカなどが姿を現すこともあり、宿にいながらサファリ気分が味わえると評判。食事はビュッフェ形式が好評。 | ヤーラ公園メインゲートまで車で約5分(約2km)。公園に最も近い宿の一つで移動時間が短く、早朝4時台発のサファリにも無理なく参加可能。 |
ヒルトン・ヤーラ・リゾート (Hilton Yala Resort) パラトゥパナ地区 約$250~400(約4~6万円) ※ヴィラタイプは更に高額 | 2024年開業の最新5つ星リゾート。全42室にスイートやヴィラを含み、一部ヴィラには専用プール付きテラスを完備。館内に3つのレストラン、スパ、インフィニティプールなど施設充実。ヤーラ国立公園に隣接し、早朝サファリ出発にも最適なロケーションが魅力。洗練されたインテリアと国際ブランド「ヒルトン」ならではの上質なサービスで、快適かつ豪華な滞在が約束される。 | ヤーラ公園メインゲートまで車で約10分(約4km)。公園北西端の海岸沿いに立地し、ジャングルと海に囲まれた環境。コロンボ空港から車で約5時間。 |
ワイルド・コースト・テント ロッジ (Wild Coast Tented Lodge) パラトゥパナ地区 約$800~1,200 (約12~18万円) | ヤーラ国立公園に隣接する5つ星のグランピング型リゾート。自然と調和するよう設計されたドーム型テント(全28棟)は「コクーン(繭)」を模した独特のデザインで、室内はアンティーク調家具と最新設備が融合した贅沢空間。各テントに露天ジャグジーまたはプランジプールを備え、一部は水辺の景色も楽しめる。宿泊者には専任レンジャー同行のヤーラ公園サファリが提供され、滞在自体が特別なサファリ体験となる。夕食は砂浜でのロマンチックなビーチディナーなど演出も可能。Relais & Châteaux加盟。 | ヤーラ公園メインゲートまで車で約15分(約5km)。公園南端の海岸沿いに位置し、敷地裏手はすぐ密林とビーチ。周囲に町はなく、大自然に抱かれた隠れ家的ロケーション。コロンボ空港から車で約5.5時間。 |
ウガ・チェナ・ハッツ (Uga Chena Huts) パラトゥパナ地区 $800~1,000(約12~15万円) | スリランカの高級ホテルグループUgaエスケープスが手掛ける全14棟のブティック・リゾート。密林と砂丘、塩湖に囲まれた自然の中に茅葺風の円形キャビンが点在し、各キャビンにプライベートプール付きテラスを完備。内装は洗練されたサファリロッジ風で、オールインクルーシブ(食事・ドリンク込み)のきめ細かなサービスを提供。早朝・夕方の**1日2回のゲームドライブ(サファリ)**や自然散策、スパなど滞在者限定アクティビティも充実。夜には近隣のビーチでウミガメの産卵観察、日中はフラミンゴや渡り鳥の群れに出会うこともあるなど、海とジャングルを同時に楽しめる唯一無二のリゾート。ハネムーナーや野生動物写真家にも人気。 | ヤーラ公園メインゲートまで車で約20分(約8km)。公園東端寄りの海岸沿いに位置し、周囲に人工物の少ない原野が広がる。コロンボ空港から車で約5.5~6時間。最寄り町ティッサマハーラマからは約20km離れており、送迎または自家用車でのアクセスが必要。 |
上記のように、それぞれ特色ある高級宿が揃っています。「ホテルも観光の一部」と考えるなら、ヤーラ周辺での宿泊自体が大きな楽しみとなるでしょう。



例えばワイルド・コーストやチェナ・ハッツではリゾート内でサファリツアーが完結し、昼間ものんびり自然を堪能できます。



一方でJetwing YalaやCinnamon Wildのような大型リゾートは設備の充実やアクセス利便性が魅力です。予算や旅のスタイルに合わせて最適なホテルを選び、ヤーラの大自然とラグジュアリーな滞在の両方を満喫してください。