スリランカ中央部の“文化三角地帯”に位置するダンブッラ石窟寺院は、一度は訪れたい必見の世界遺産です(シーギリヤ・ロックやキャンディの仏歯寺と並ぶ「文化三角地帯」のハイライトの一つ)。

ごつごつとした岩山の中腹にある洞窟に足を踏み入れた瞬間、目前に広がるのは約150体以上の仏像と壁一面の極彩色フレスコ画。まるで昔にタイムスリップしたかのような神秘的な空間に、思わず息を呑んでしまいます。
遺跡巡りに慣れた旅行者の中には「他の遺跡と比べ規模は小さい」という声もありますが、その分洞窟内部に密集する仏像・壁画の迫力は群を抜いています。

紀元前1世紀に始まる長い歴史と圧巻の仏教美術が詰まったこの石窟寺院、実はスリランカで最大かつ保存状態が最も良い石窟寺院とも言われています。
本記事では、そんなダンブッラ石窟寺院の魅力を余すところなく解説し、さらに日本人個人旅行者向けに行き方やベストシーズン、訪問のポイントまで徹底ガイドします。コロンボからの現実的なアクセス方法や、効率良く世界遺産を巡るコツもご紹介。



今回の記事を読めばダンブッラ石窟寺院観光のイメージがきっと掴めるはずです。
ダンブッラ石窟寺院を徹底解説:歴史と魅力
ダンブッラ石窟寺院は、英語で Dambulla Cave Temple、正式名称を「ダンブッラの黄金寺院」といいます。


その名の通り内部には金色の仏像が数多く安置され、1991年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。シンハラ語ではRangiri Dambulla Raja Maha Viharaya(ランギリ・ダンブッラ・ラジャマハー・ヴィハーラヤ)、タミル語ではTampuḷḷai Poṟkōvil(タンブッライ・ポルコーヴィル)と呼ばれています。
寺院の起源は古く、紀元前1世紀にまで遡ると言われます。当時のアヌラーダプラ王朝のワッタガーミニ・アバヤ王(別名ヴァラガンバフ王)が、外敵に都を追われた際にこの洞窟へ逃れ約15年間洞窟に身を潜めたとも言われます。
後に王位復帰した際に報恩として仏教寺院に改修したという伝説が残ります。その後も歴代の王により手厚く保護・増築が重ねられ、12世紀のニッサンカ・マッラ王は石窟内の仏像を金箔で覆い仏像を約70体増やしたとも伝わります。こうして長い歳月を経て現在の姿となったダンブッラ石窟寺院は、世界でも類を見ないほど良好な保存状態で往時の姿をとどめています。
所在地はスリランカ中央部マータレー県ダンブッラで、町の中心から南へ約2〜3km、標高約160mの岩山の中腹に位置しています。シーギリヤ・ロックからは約20km(車で約1時間)の距離で、セットで訪れる旅行者も多いスポットです。


石窟寺院はその名の通り岩山の洞窟内に造られた寺院群で、大小5つの洞窟から成ります。内部には計150体以上の仏像(釈迦像153体、スリランカ王像3体、神像4体)と、総面積2,100㎡にも及ぶ色鮮やかな壁画がぎっしりと残されています。




特に全長14mもの巨大な涅槃仏(横たわる仏像)や、洞窟の天井一面に描かれた仏伝図・歴史絵巻のフレスコ画は圧巻です。


なお、第一窟の涅槃仏の足裏が赤く彩色されているのもユニークな特徴で、これは紀元前5世紀にインドからスリランカへ渡来した初代王ヴィジャヤの手足が赤かったという伝説に由来するそうです。
これらの石窟寺院群は現在も現役の仏教寺院として僧侶たちに管理されており、巡礼に訪れる地元信徒の姿も見られます(約2000年にわたり巡礼が続く聖域でもあります)。
主な都市からダンブッラまでの距離・所要時間(目安)
出発地 | 距離(約) | バス移動 | 車移動 |
---|---|---|---|
コロンボ | 150km | 4〜5時間 | 約3.5〜4時間 |
キャンディ | 72km | 約3時間(高頻度運行) | 約2時間 |
シーギリヤ | 20km | 約1時間(本数少なめ) | 約30〜40分 |
ダンブッラ石窟寺院への行き方
コロンボからの行き方
コロンボからダンブッラまでは、鉄道が通じていないため陸路移動のみとなります。公共交通ではバス利用が一般的で、コロンボ中心部ペター地区のバスターミナル(バスティアン・マワタ・バスステーション)から長距離バスが出ています。
ノンエアコンのローカルバスで約4〜5時間(運賃約320ルピー)、エアコン付きのインターシティバスなら約3〜4時間(運賃倍程度)でダンブッラに到着します。
主要都市行きのバスは概ね1時間に1本以上運行されており、それほど長く待たずに乗車できます。路線番号は「15番」や「48番」で、コロンボ〜ダンブッラ直行便は本数が少ないため途中で乗り換えになる場合もあります。
一方、荷物が多い場合や時間を節約したいなら、タクシーチャーターの利用がおすすめです。コロンボ市内からダンブッラまでは車で約150km、所要3.5〜4時間程度でアクセスできます。貸切チャーターなら途中で好きな観光地に立ち寄ることもでき、周辺の世界遺産もまとめて巡るのに便利です。


おすすめのタクシーチャーターは以下で紹介しております。


シーギリヤや他エリアからのアクセス
ダンブッラはスリランカ中央部の要衝にあり、他の主要観光地とも比較的近距離です。例えば世界遺産シーギリヤ・ロックからは約20km(車で約1時間)と至近で、両方をセットで日帰り観光する旅行者も多くいます。
キャンディからは約72km(車で2時間前後)で、こちらも日程次第では日帰り訪問圏内です。さらにアヌラーダプラやポロンナルワといった他の文化三角地帯の世界遺産都市からも長距離バスが運行しており、ダンブッラは各方面からのバスが集まる交通ハブにもなっています(例:コロンボ発ポロンナルワ行きの長距離バスはダンブッラ経由)。
なお郊外には世界最大級の石英岩を抱くローズクォーツマウンテン(ナマル・ウヤーナ)などの穴場スポットもあります。時間に余裕があれば足を延ばしてみるのも良いでしょう。


宿泊拠点としてはダンブッラ市街やシーギリヤ村にゲストハウスが多数あり、時間にゆとりがあればこうした宿に1泊して朝夕の涼しい時間帯にゆっくり見学するのもおすすめです。
ダンブッラ市街地から石窟寺院へ
ダンブッラの町から石窟寺院入口までは約1.5〜2kmほど離れています。徒歩でも30分程度で行けますが、暑い中の登り坂はなかなか大変です。
時間と体力を節約したいなら、市街地で待機しているトゥクトゥク(三輪タクシー)を利用すると良いでしょう。料金の目安は片道200〜300ルピーほどで、約5〜10分で寺院まで連れて行ってくれます。
ただ、タクシーチャーターであれば当然ではありますが入り口までダイレクトに送ってくれるので非常に便利ですね。
重要ポイント: 石窟寺院には入口が二箇所あり、大きな黄金の仏像(ゴールデンテンプルの大仏像)がある側と反対側でそれぞれ上り口があります。しかしチケット売り場は片側(黄金寺院とは反対側のふもと)にしかありません。うっかり黄金仏像側から先に上ってしまうと、頂上でチケット未購入のまま入場できず、再度下まで戻らなくてはならないので要注意です!タクシードライバーやトゥクトゥクの運転手にお願いして必ずチケット売り場側まで行ってもらいましょう。なお、登りきった石窟寺院からの下山時は、反対側の黄金仏像がある出口へ出ることもできます(下山後すぐ近くにバス停があります)。
ベストシーズン・気候
スリランカは地域によって雨季と乾季の時期が異なりますが、ダンブッラを含む文化三角地帯エリアは比較的雨が少ない乾燥地帯(ドライゾーン)に属します。
一年を通じて観光可能ですが、特に雨の少ない時期としてはおおむね1〜3月および5〜9月が挙げられます。実際、コロンボを起点に文化三角地帯を巡るなら1〜2月がベストシーズンとも言われています。
4月頃は一年で最も暑く、10〜11月頃には短い雨季にあたるため、できればこれらの時期を避けると良いでしょう。とはいえ先述の通りダンブッラ周辺は年間を通して極端な悪天候は少ないため、スケジュールに合わせて訪れても大きな問題はないでしょう。


ダンブッラ石窟寺院の観光のポイントや注意事項
ダンブッラ石窟寺院を観光する際には、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
服装・持ち物: 寺院内に入る際は肌の露出の少ない服装を心がけましょう。ショートパンツやタンクトップなど膝や肩が出る服装は禁止で、男性も女性も膝と肩が隠れる服を着用します。入口でサロン(布巻きスカート)を貸し出してもらうこともできますが、あらかじめ羽織るものを準備していくと安心です。また靴と帽子は入口で脱いで預ける決まりなので、履き慣れたサンダルや持ち歩き用の袋があると便利でしょう(靴預け代は約25ルピーです)。地面が暑い日もあるので、気になる方は靴下を履いていくと足裏の熱さを和らげられます。
入場料と営業時間: 石窟寺院の入場料は1人1500ルピーです(2025年時点)。チケットブースの受付は夕方17時頃までで、寺院自体の拝観は19時頃まで可能です。
写真撮影マナー: 石窟内は写真撮影自体は可能ですが、フラッシュは禁止です。壁画や彩色へのダメージを防ぐため、ご配慮ください。また仏像と一緒に写るセルフィーを撮ったり、仏像に背を向けてポーズを取る行為は不敬とされ固く禁じられています。現地では監視スタッフも目を光らせていますので、礼儀を守って静かに拝観しましょう。
猿に注意: 石窟寺院の敷地や登り道ではサルの集団をよく見かけます。見た目は可愛いですが油断は禁物!彼らは観光客の持つ食べ物を狙っており、時にはカメラやペットボトルをひったくることもあります。絶対にエサを与えないようにし、バッグや荷物はしっかりと身につけて奪われないよう注意してください。
拝観所要時間: 石窟内部は5つすべて見て回っても1〜2時間程度です。階段の登り下りに約20分ずつ、寺院で靴を脱いだり預けたりする時間も考慮して、余裕をもってスケジュールを組みましょう。(山頂には売店がないため、飲み水を十分に持参すると安心です。)日中は気温が上がり階段もかなり暑くなるため、可能であれば朝早くか夕方の涼しい時間帯の訪問がおすすめです。なお、チケットブースの受付終了は17時頃(寺院自体は19時まで)なので、それ以降の到着は避けましょう。
トイレ: 洞窟寺院の敷地内にはトイレがないため、拝観前に麓で済ませておきましょう(黄金寺院横に公衆トイレあり)。
ダンブッラ石窟寺院観光に便利!おすすめホテル3選
ダンブッラ石窟寺院観光におすすめのホテル3選
観光には休息をとるホテルが必要になります。以下がおすすめのホテルとなります。
ホテル名 | グレード | 石窟寺院までの距離/所要 | 1泊料金目安* | 推しポイント |
---|---|---|---|---|
Heritance Kandalama | 5★ラグジュアリー | 約12 km(車20分) | US$130前後〜 | ジェフリー・バワ設計の“自然と一体化する”名建築。インフィニティプールやスパも充実 |
Jetwing Lake | 5★エコリゾート | 約1.5 mi/3 分ドライブ(約3 km) | US$96前後〜 | 寺院至近で移動が楽。湖畔の景観と大型プール、フルサービススパが好評 |
Sundaras Resort & Spa | 3★ブティック | 0.7 km/徒歩10分弱 | US$44前後〜 | 寺院徒歩圏のコスパ宿。プチリゾート感と屋外プールでバックパッカーにも人気 |
(※)料金は2025年5月時点の主要予約サイト最安値を参考(税・手数料別)。シーズンや為替で変動します。



ヘリタンスカンダラマについては当サイトでも詳しくと利上げています






ホテルの選び方のヒント
贅沢ステイ派には、世界的にも評価の高いバワ建築のヘリタンス・カンダラマがおすすめ。石窟寺院だけでなくシーギリヤやカンダラマ湖など文化三角地帯全体をリゾート気分で満喫できます。
アクセス最重視派なら、ジェットウィング・レイク。寺院へ車ですぐ、かつ近代的設備とエコフレンドリーなコンセプトで快適。
予算重視&徒歩圏派は、サンダラス・リゾート&スパ。バックパッカー料金ながらプール付きで、朝一番に石窟寺院へ向かうのに便利です。
これらのホテルはいずれもコロンボ発着の貸切タクシーチャーターと相性抜群。
ホテル↔世界遺産間をドアツードアで移動でき、時間を節約しながら文化三角地帯を効率よく回れます。


まとめ:ダンブッラ石窟寺院観光の要点
ダンブッラ石窟寺院はスリランカの歴史と信仰が凝縮された特別な場所です。今回のポイントをまとめると以下となります。
- ダンブッラ石窟寺院はスリランカ最大の石窟寺院で、150体以上の仏像と壮麗な壁画を有する1991年登録の世界遺産。
- 紀元前1世紀に起源を持ち、歴代王が維持・増築し続けてきた由緒ある寺院。
- 5つの石窟から成り、それぞれ涅槃仏や多彩な天井画など異なる見どころがあり、特に14mの涅槃仏や洞窟いっぱいの壁画などは圧巻。
- コロンボから直通バスで約4〜5時間(鉄道無し)。シーギリヤやキャンディからも日帰り訪問圏内で、タクシーチャーターなら移動が格段に快適。
- ベストシーズンは乾季にあたる1〜3月・5〜9月頃で、天候が安定。4月は暑季、10〜11月は雨季にあたる点に留意。
- 観光時は服装規定(膝と肩を隠す・裸足)を守り、日差し対策や猿対策も万全に。階段が多いので歩きやすい靴で臨みましょう。
雄大な仏教遺産の地で、心ゆくまで感動体験を味わってください!それでは、良い旅を!