女優・歌手の上白石萌歌さんが25歳の記念に発表した写真集『charm charm』は、 スリランカ を舞台に撮影されました。

上白石さん自身が「インド洋に浮かぶ美しい島」スリランカをロケ地に選び、1週間の夏休みを利用した“プライベート感たっぷり”の撮影旅行となったそうです。
スリランカは紅茶や宝石の産地としてのイメージが強い国ですが、実は手つかずの豊かな自然と多様な文化に恵まれた「東洋の真珠」と呼ばれる美しい島国です。

写真集には、そんなスリランカの雄大な自然や街中で出会った人々とのふれあい、そして上白石さんが心奪われた建築物の数々が収められています。ここからは、写真集『charm charm』に登場するスリランカの主な撮影ロケ地について、その魅力と背景を観光の視点でご紹介します。
コロンボ:異国情緒あふれる玄関都市での出会い
スリランカの旅は首都 コロンボ から始まります。
上白石さんが空港に降り立ちエントランスを抜けた瞬間、「燻った草木の香り」と人々の活気に一気に包まれて高揚したと語っています。コロンボは古くから港町として発展し、植民地時代の建物と近代的な高層ビルが混在するエキゾチックな都市です。

街中の雑踏に紛れ、市場でローカルフードを味わったり、リキシャに乗って移動したりするなかで、上白石さんは現地の人々と言葉を交わし、一緒に笑顔になる瞬間を楽しんだそうです。
実際、撮影中には興味津々に集まる子ども達や偶然電車で隣り合わせた親子、レストランの店員さんなど、彼女は驚くほどフランクに人々とコミュニケーションを取っていたといいます。
コロンボでは、市の喧騒から一歩離れて ベイラ湖 に佇む仏教寺院 シーマ・マラカヤ寺院(Seema Malakaya)にも足を延ばしたかもしれません。

実はこの水上寺院はスリランカが誇る建築家ジェフリー・バワが再設計を手掛けたスポットで、都会の中心にいながら静かな水面と仏像に囲まれた神秘的な雰囲気が味わえます。コロンボは上白石さんにとって、スリランカの文化と人々の温かさに触れる玄関口となり、写真集にも現地の人々と自然にふれあう生き生きとした姿が収められています。
ベントタ:バワの楽園ルヌガンガで感じる南国の寛ぎ
西海岸のリゾートタウンベントタ(Bentota)は、コロンボから車で約1.5時間ほど南下した場所にあります。
豊かなヤシの木立とラグーンに囲まれ、古くからビーチリゾートとして親しまれてきたベントタは、スリランカ政府が1960年代に最初の観光開発を行った土地でもあります。
このベントタ周辺には、上白石さんが旅でこだわった建築家 ジェフリー・バワ が手掛けた建築が数多く残っており、中でも代表的なのがバワ自身の邸宅兼庭園 ルヌガンガ(Lunuganga) です。


ルヌガンガは元々シナモン農園だった広大な敷地を、バワが1948年から生涯をかけて熱帯の楽園に造り上げた夢のような庭園です。
バワが建築家を志す原点となった場所とも言われ、彼の美学が隅々まで行き渡ったルヌガンガには、緑豊かなガーデンと調和するように配置された白いパヴィリオンや彫刻、池などが点在しています。
写真集の中でも、上白石さんが南国の木漏れ日の下でリラックスした表情を見せるシーンは、このルヌガンガで撮影されたのではないでしょうか。熱帯の植物に囲まれた小径を散策したり、湖を見渡すテラスでくつろぐ彼女の姿からは、バワ建築がもたらす究極の寛ぎとエキゾチックな雰囲気が伝わってきます。
ルヌガンガでは一般の旅行者もガーデンツアーや宿泊が可能で、まさに「建築と自然の調和」を五感で味わえるスポットです。上白石さんもお気に入りの一つとして、このバワの楽園を存分に堪能したことでしょう。
ダンブッラ:ジャングルに溶け込む幻想ホテル「ヘリタンス・カンダラマ」
スリランカ中央部の内陸、文化三角地帯と呼ばれるエリアに位置する ダンブッラ 近郊も、写真集の重要な舞台です。
ここにはジェフリー・バワの代表作の一つである高級ホテル ヘリタンス・カンダラマ(Heritance Kandalama) があります。上白石さんは「行った先々でいろんな建物を見て回ります」と語るほど建築好きであり、今回の旅でもこのカンダラマホテルを訪れて子どものようにはしゃぐ無邪気な姿が写真集に収められています。

ヘリタンス・カンダラマは1994年完成のバワ建築で、ダンブッラのジャングルに囲まれた崖沿いに建ち、まるで周囲の自然に溶け込むような佇まいが特徴です。

実際、ホテルの建物はツタや樹木に覆われ、遠目には岩肌と一体化して見えるほどで、そのデザインは「環境と建築の完全な融合」を目指したものとなっています。ホテルの内部に一歩入れば、吹き抜けのロビーから熱帯の森と湖を見渡せ、開放的な空間と自然光の演出に思わず息を呑むでしょう。


写真集でも特に印象的なのが、このカンダラマホテルの インフィニティプール で泳ぐ上白石さんのカットです。エメラルドグリーンのプールは崖の端にせり出すように設計され、目の前には広大なカンダラマ湖と遠くに世界遺産のシンハラ王朝の古都シギリヤ・ロックまでもが望める絶景スポットです。

トロピカル・モダニズム様式で彩られたそのプールに身を委ねる上白石さんの姿からは、日常を離れ南アジアの大自然に抱かれて解き放たれたような開放感が伝わってきます。
客室もシンプルかつ美しく設えられており、テラスに出れば目前にジャングルの生態系が感じられるこのホテルで、上白石さんは五感を研ぎ澄まし「自らの感性を開放」したのではないでしょうか。
ヘリタンス・カンダラマは建築ファンのみならず自然好きの旅行者にも人気が高く、「自然と共生する圧巻の空間」を体験できる唯一無二の宿です。写真集を通じて伝わる幻想的な雰囲気は、まさにこの場所ならではの景観と上白石さんのリラックスした表情が相まって生まれたものと言えます。
ゴール:世界遺産の要塞都市と海辺のモダン建築
スリランカ南部の ゴール(Galle) もまた、写真集『charm charm』の舞台として見逃せない場所です。

ゴールは16世紀以降ポルトガル、オランダ、イギリスに統治された歴史を持ち、旧市街と大要塞はユネスコ世界遺産に登録されています。インド洋に突き出た小さな半島全体が17~18世紀築造の城壁に囲まれており、街並みには欧州と南アジア文化の融合が色濃く感じられます。
オランダ風の石畳や白亜の教会、風情ある木造バルコニーの家々が並ぶ通りを、上白石さんも散策しながら撮影を行ったことでしょう。写真集には、ゴール旧市街の フォート(Fort)地区 でカフェのオープンテラスに座る上白石さんのショットが先行公開されています。
紅茶グラスを手に少し驚いたような表情を見せるそのシーンからは、異国情緒ただよう街角で旅人がくつろぐ瞬間の喜びが伝わってきます。ゴールのもう一つの見どころは、ジェフリー・バワ晩年の傑作ホテル ジェットウィング・ライトハウス(Jetwing Lighthouse) です。



ゴール市街から程近い小高い岬の上に建つこのホテルは、目の前にどこまでも広がるインド洋の景色が広がる絶好のロケーションを誇ります。バワはここでも周囲の環境と文化を取り入れたデザインを施しており、開放的なラウンジやテラスからは海風と南国の光を存分に感じられる造りになっています。
特に有名なのが館内ロビーの大階段で、17世紀にゴールを巡る戦いをモチーフにしたドラマチックなブロンズ彫刻が飾られ、訪れる者を圧倒します。上白石さんもライトハウスに滞在または訪問し、オーシャンビューの客室やコロニアル調のバーで寛ぐ様子が撮影されたかもしれません。
実際、写真集では白いタンクトップにデニム姿というリラックスした装いで、ゴール駅のホームと思われる場所で列車を背景にベンチに腰掛けるショットも公開されています。
スリランカでは南部海岸線を走る鉄道の旅も人気で、ゴール駅はその起点として知られています。真っ青な海を横目にビーチ沿いを走る列車は旅情満点で、上白石さんもカメラを片手にローカル線の雰囲気を楽しんだのでしょう。
歴史薫る街並みと近代建築、そして美しい海景色が揃うゴールは、写真集のラストを飾るのにふさわしいロケーションです。夕暮れ時、ゴール旧市街の城壁の上から眺めるオレンジ色の空と灯台のシルエットを背景にした上白石さんの姿が目に浮かぶようです。
まとめ:スリランカの魅力が詰まった一冊
上白石萌歌さんの写真集『charm charm』は、スリランカの多彩な魅力を余すところなく伝える一冊に仕上がっています。彼女が心惹かれたジェフリー・バワの建築を巡る旅は、単に建物を見るだけでなく、 「豊かな自然と共生する空間」 を肌で感じ感性を解き放つ時間でした。
同時に、行く先々で出会う人々との何気ない交流は、旅の温もりと驚きを彼女にもたらし、それが写真の表情にも表れています。熱帯の森に囲まれたプールで無邪気に泳ぎ、世界遺産の街角ではお茶を楽しみ、子ども達と笑い合う――そんな上白石さんの姿からは、スリランカという土地が持つ 観光地としてのポテンシャルとビジュアルの魅力 が存分に感じられます。
南国の太陽と緑、歴史とモダンが融合したロケ地の数々は、読む者にもまるで一緒に夏旅をしているかのような高揚感を与えてくれるでしょう。スリランカを愛する上白石さんならではの視点で切り取られた風景は、私たちにこの国を訪れてみたいと思わせる不思議な “チャーム(魅力)” に満ちています。写真集『charm charm』を手に取れば、きっとあなたの心にもスリランカの風がそっと吹き込むことでしょう。