スリランカ最大の祭り「ペラヘラ祭り」は、2000年以上の歴史を誇る壮大なお祭りです。
毎年夏（7～8月）に古都キャンディで開催され、色鮮やかな衣装をまとった舞踊団と電飾で飾られた象の大行列が街を練り歩く光景は圧巻です。
仏教の聖なる遺物である仏歯（ぶっし）への敬意と豊作祈願を目的とした伝統行事で、そのスケールと神秘性から「アジア三大祭り」の一つとも称されています。
この記事では、2025年の最新情報を織り交ぜながら、ペラヘラ祭りの基本情報や見どころ、アクセス方法、周辺観光、宿泊情報、歴史背景、さらに他のアジアの有名祭りとの比較まで幅広く解説します。
ペラヘラ祭りとは？魅力と基本概要
ペラヘラ祭り（キャンディ・エサラ・ペラヘラ祭とも呼ばれる）とは、スリランカの中央高地にある世界遺産の街キャンディで毎年開催される仏教最大級の祭典です。
その特徴は期間中毎晩繰り広げられる大規模なパレードにあります。「ペラヘラ」とはシンハラ語で「行列」を意味し、その名の通り伝統舞踊団や楽隊、そして40～100頭もの煌びやかに装飾された象の行列が見どころとなります。
ラクシャン象たちは体中に電飾をまとい、仏歯を納めた御神輿（仏舎利容器）を運ぶ役目を担っています。
さつき太鼓や横笛の音色に合わせて踊るキャンディ伝統舞踊のダンサー、松明を振り回す火の舞踊、鞭を鳴らす演舞など、多彩な伝統芸能が次々と披露される様子はまさに幻想的でエネルギッシュです。
ペラヘラ祭りはスリランカ全土の信仰と文化が結集した祭典であり、地元の人々にとって一年で最も重要な行事でもあります。期間中は世界各地から観光客や仏教徒が詰めかけ、キャンディの街は熱気に包まれます。
夕闇に浮かぶ無数の提灯と電飾、響き渡る太鼓のリズム、そして優雅に進む象の姿は神秘的な雰囲気を醸し出し、観客は思わず手を合わせて祈りを捧げることもあります。
仏教への敬意と民族芸能の華麗さが融合したこの祭りは、まさにスリランカ文化の粋を体感できるイベントと言えるでしょう。一度見ると心奪われ、日本の祭りでは味わえない特別な感動を覚えるはずです。
スリランカ・ペラヘラ祭りの2025年の開催時期 (スケジュール)
2025年のペラヘラ祭りは7月30日から8月8日までの予定です。例年、スリランカ暦のエサラ月（7～8月）の新月の日から満月の日（ペラヘラ最終日）まで約10日間にわたり開催されます。
この期間中、毎晩キャンディ市内でパレードが行われ、日を追うごとに参加する出演者や象の数も増えていきます。
前半5日間の夜はクンバル・ペラヘラ（小ペラヘラ）と呼ばれ、比較的規模が小さい行列ですが、それでも十分見応えがあります。後半5日間（8月4～8日）の夜はランドーリ・ペラヘラ（大ペラヘラ）と呼ばれ、より多くの象やダンサーが加わりパレードは最高潮に達します。
ラクシャン最終夜（8月8日）のパレードは特に盛大で、「大巡行」とも称されるクライマックスです。
さつき最終日の深夜から翌未明にかけて、四つの守護神殿で聖水を捧げる儀式（ディヤ・ケペーマ：水切りの儀式）が執り行われ、これをもって全行事が締めくくられます。
各夜のパレード開始時間はおおよそ19～20時頃です（満月の最終夜は開始がやや遅くなる傾向があります）。
行進は約2～3時間かけて市内を一巡し、22～23時頃に終了します。なお、当日のスケジュールは仏教僧や占星術師によって定められた吉兆の時刻に左右されるため、開始が予告より遅れることもあります。
観覧する際は時間に余裕を持って行動すると良いでしょう。
ペラヘラ祭りの見どころ・鑑賞のポイント
ペラヘラ祭り最大の見どころは、何といっても夜間の壮麗なパレードです。
煌びやかな衣装と電飾で飾られた象たちが先頭に立ち、仏陀の聖なる歯（仏歯）のレプリカを載せた御神輿を運びます。その後ろに何百人もの伝統舞踊のダンサーや太鼓隊、笛吹き、旗手たちが続き、キャンディ市内のルートを練り歩きます。
観衆は歩道に座り込み、頭上を通る象やパフォーマーを間近で見守ります。中には、優雅に進む主役の象（マリガーワ・タスカー）に向かって合掌し祈る地元の人々の姿も見られ、祭りの宗教的な尊厳を感じられるシーンです。
夜空を焦がす炎の舞もペラヘラ祭りならではのハイライトです。松明を振り回すファイアーダンスや、渦巻くように燃え盛る火輪を操る火の芸人たちが登場し、暗闇に幻想的な軌跡を描きます。
ラクシャンまた、鞭（ムチ）を鳴らす演者が豪快に鞭を打ち鳴らし悪霊を祓う音を響かせる場面や、コミカルな仮面舞踊が行列に彩りを添える場面もあります。
太鼓や横笛による伝統音楽は祭り全体の雰囲気を高揚させ、観客もそのリズムに合わせて手拍子を送りたくなるでしょう。こうした多彩な演目が次々と繰り広げられ、視覚・聴覚のすべてでスリランカの伝統美を堪能できるのがこの祭りの醍醐味です。
観覧する際のアドバイス
良い観覧スポットは早めに確保しましょう。パレードルート沿いの歩道は無料で観覧できますが、開始1～2時間前には地元客で埋まり始めます。
特に最終夜は非常に混雑するため、遅くとも開始の数時間前には場所取りをするのがおすすめです。観覧席には有料の椅子席も設置されます（主に観光客向けで事前予約可）が、費用を抑えたい場合はシートや新聞紙を持参して路上の空きスペースに座りましょう。
防犯対策として、貴重品は最小限にし、バッグは前に抱えるなどスリ対策も忘れずに。人混みでは身動きが取りづらくなるため、水分や軽食をあらかじめ用意しておくと安心です。
また、開催時期のキャンディは雨期（モンスーン）にあたります。スコールのような夕立が降る可能性があるので、雨具（レインコートや折り畳み傘）を携帯しましょう。運悪く雨天の場合でも、パレードは決行されます。
濡れながらの観覧が心配な方は、ひさしのある建物の下や有料観覧席（テント屋根付きの席もあり）を利用するのも一手です。幸いにもスリランカの雨は長時間降り続くことは少なく、通り雨程度で止むことも多いです。天候に応じて柔軟に対応しましょう。
最後に、パレードが近づいてきたら立ち上がるのが現地流です。ずっと座って待っていた観客も、いよいよ象や踊り手が目の前に来ると一斉に立ち上がります。写真や動画を撮影する場合は周囲の視界を遮らないよう配慮しつつ、ライブで味わう迫力と熱気を存分に楽しんでください。
ペラヘラ祭りへのアクセス方法
日本からスリランカへの直行便は現在、東京（成田）～コロンボ間をスリランカ航空が週数便運航しています。
直行便利用で所要約9～10時間、乗継便（シンガポール航空やマレーシア航空等）も含めると所要時間は乗継地によりますが12～15時間程度です。コロンボの玄関口バンダラナイケ国際空港（CMB）に到着したら、ペラヘラ祭り開催地のキャンディへ向かいましょう。
コロンボからキャンディへの移動手段:
- 鉄道（列車） – コロンボ・フォート駅からキャンディ駅まで急行列車で約2時間半～3時間です。山岳地帯を走る鉄道は景観が美しく、スリランカ名物の紅茶畑や熱帯の森を車窓から楽しめます。特に展望車付きの一等車は観光客に人気ですが、ペラヘラ祭り時期は満席になることも多いので事前予約が無難です。二等車でも十分快適ですが、指定席でない場合は混雑に注意しましょう。
- バス – コロンボ市内のバスターミナル（ペター地区）からキャンディ行きのエアコン長距離バスが頻発しています。所要約3～4時間で、料金は鉄道よりやや安価です。ただし道路事情により時間が読みにくいこと、途中乗降が多く混雑する可能性があることに留意してください。バスも祭り期間中は満席になりやすいため、時間に余裕をもって行動しましょう。
- タクシー/チャーター車 – 空港またはコロンボ市内からキャンディまでタクシーを利用する手段もあります。所要約3時間で、他の手段に比べ費用は高めですが、ドアツードアで移動でき荷物が多い場合やグループ旅行には便利です。現地旅行会社で車両チャーター（運転手付き）を手配すれば、観光しながら移動するアレンジも可能です。
キャンディ市内に到着したら、会場のキャンディ湖周辺や仏歯寺周辺がパレードルートとなります。
祭り当日は主要道路が夕方以降通行止めになるため、宿泊先へのチェックインや市内観光は午後早めの時間までに済ませておくと良いでしょう。市街は狭く交通渋滞も起きやすいので、移動は徒歩がおすすめです。
初めて訪れる方は、市内中心部（キャンディ湖周辺）の地図を入手しておくと安心です。なお、キャンディ駅やバスターミナルから仏歯寺までは徒歩15～20分程度です。
荷物が多い場合は駅前や市街で流しのトゥクトゥク（三輪タクシー）を捕まえることもできます（短距離なら数百スリランカルピー程度が目安）。
周辺の観光地＆過ごし方
ペラヘラ祭り鑑賞と合わせて、キャンディおよび周辺の観光もぜひ楽しみましょう。
キャンディはスリランカの文化・信仰の中心地であり、緑豊かな高原の都市でもあります。以下はおすすめスポットと過ごし方の一例です。
仏歯寺（ダラダ・マーリガーワ） – キャンディ観光のハイライトであり、ペラヘラ祭りの中心となる寺院です。仏陀の犬歯の遺物が黄金の小塔に納められており、国内外から篤い信仰を集めています。祭り期間中でなくとも、毎日朝昼晩の定時に仏歯へ供物と礼拝を捧げる法要（プージャ）が行われ、太鼓や法螺貝の音が響く厳かな雰囲気を体感できます。寺院内には博物館もあり、歴代王朝や仏歯にまつわる宝物を見ることができます。
キャンディ湖と周辺散策 – 仏歯寺に隣接するキャンディ湖は、街の中心に広がる人造湖です。初代キャンディ王朝の王が作らせた湖で、市民の憩いの場になっています。湖畔を一周歩くと約1時間ほど。夕暮れ時には湖面に沈む夕日が美しく、散策にぴったりです。湖沿いには「クイーンズ・ホテル」など植民地時代の面影を残す建物もあり、歴史を感じられます。
キャンディ中央市場 – ローカルな雰囲気を味わいたいなら中央市場（キャンディ・マーケット）へ。新鮮な果物や野菜、スパイス類、雑貨や工芸品まで何でも揃う二階建ての市場です。色とりどりのトロピカルフルーツやスパイスの香りは、歩いているだけで楽しい経験に。値札がない商品も多いので、買い物の際は上手に値段交渉をしてみましょう。
ペラデニヤ王立植物園 – キャンディ郊外（市中心から車で20分程度）にある広大な植物園です。19世紀の英国統治時代に開園されたもので、熱帯アジアの植物を中心に約4,000種もの草木が生い茂ります。ヤシの並木道、巨大なジャックフルーツの木、世界最大級の竹林、美しいランの温室など見どころ多数。園内はとても広いので、時間に余裕を持って訪れましょう。森林浴しながらの散策はリフレッシュに最適です。
バヒラワカンダ仏像 – キャンディ市街を一望できる丘の上に立つ巨大な白い仏陀坐像です。高さ25mにも及ぶ仏像はキャンディのランドマークで、夜にはライトアップもされます。丘の上までは車かトゥクトゥクで行くのが便利ですが、頂上からの眺めは絶景です。街と湖、遠くの山々まで見渡せ、写真映えするスポットとしても人気があります。
ピンナワラ象の孤児院 – 少し足を伸ばしても良いなら、キャンディから車で約1時間半の場所にある象の保護施設はいかがでしょうか。親を亡くしたり傷ついた象を保護している孤児院で、100頭近い象が暮らしています。毎日決まった時間に行われる象たちの川遊び（川で水浴びする様子）は迫力満点で、観光客にも大人気です。ペラヘラ祭りの象とはまた違ったリラックスした象たちの姿に癒やされるでしょう。キャンディからはツアーやタクシー手配で日帰り訪問が可能です。
この他にも、紅茶の産地ヌワラエリヤ（キャンディから南東へ列車で約4時間）や、古都シーギリヤ・ダンブッラ（キャンディから北へ車で2～3時間）など、スリランカには見所が豊富にあります。ペラヘラ祭りを旅程に組み込む際は、興味に合わせて周遊プランを立ててみましょう。
おすすめホテル・宿泊情報
さつきペラヘラ祭り期間中のキャンディ宿泊は早めの予約が肝心です。
祭りの開催に合わせて世界中から観光客が訪れるため、市内のホテルやゲストハウスは満室になりやすく、料金も通常期より高騰します。少なくとも1ヶ月以上前には予約を確保することをおすすめします。
ここでは、観覧に便利なキャンディ市内の宿泊施設をいくつか紹介します。ご予算や希望に合わせて検討してください。
| ホテル名（エリア） | グレード | 特徴・利点 |
|---|---|---|
| クイーンズ・ホテル （キャンディ湖畔） | ★★★ (中級) | キャンディ湖と仏歯寺のすぐ近くに位置するコロニアル調の老舗ホテル。パレードルート沿いにあり、ホテル前やバルコニーから行列を観覧可能なため、祭り鑑賞に最適。19世紀後半築の由緒ある建物で、レトロな雰囲気と現代的設備が調和する。祭り時期は早期予約必須。 |
| ザ・グランド・カンディアン （市街地北部） | ★★★★★ (高級) | 市街地を見下ろす高台に建つ新しいデラックスホテル。屋上プールやスパ完備で快適性抜群。パレード会場まではやや距離があるが、車で10分程度。喧騒を避け静かに過ごしたい人向け。祭りの熱気を楽しんだ後にリラックスできる環境。 |
| ホテル・スイス （キャンディ湖畔） | ★★★ (中級) | クイーンズホテル同様、植民地時代の趣あるホテル。湖畔沿いで徒歩圏内で会場にアクセス可能。価格は高級ホテルより抑えめながら雰囲気良好。中庭レストランでの食事も評判。 |
| セバナ・シティ・ホテル （キャンディ駅付近） | ★★ (エコノミー) | 駅から徒歩5分、市場にも近い便利な立地のリーズナブルなホテル。設備は簡素だが清潔でスタッフも親切と評判。予算重視の個人旅行者に人気。パレード会場までは徒歩15分ほど。 |
宿選びのポイント: 会場となるキャンディ中心部（仏歯寺周辺）に近いほど便利ですが、その分料金は高めです。特にパレードルート沿いのホテルは非常に人気が高く早期に満室になります。多少離れた郊外の宿に滞在し、夕方までに市内に出て観覧する方法もあります（観覧後は渋滞を避けるため徒歩で宿まで戻れる距離が望ましいです）。また祭り期間中は深夜まで街が賑わうため、騒音が気になる方は防音性の高いホテルや郊外の宿を選ぶと良いでしょう。いずれにせよペラヘラ祭りは年間でもトップクラスの繁忙期ですので、早め早めの宿確保を心がけてください。
ペラヘラ祭りの歴史と起源
現在の形のペラヘラ祭りには、古代から連綿と続く二つの祭礼が統合されています。一つはエサラ・ペラヘラと呼ばれる古来の雨乞い儀式、もう一つはダラダ・ペラヘラと呼ばれる仏陀の遺骨（歯）を祀る行列です。
前者は紀元前3世紀にはすでに行われていたとされ、当時は雨乞いのためにヒンドゥーの神々へ祈りを捧げる行事でした。後者のダラダ・ペラヘラは、仏陀入滅後約800年を経た4世紀頃、インドから仏歯がスリランカにもたらされたことに始まります。
王族の姫ヘーマーマーラーが密かに髪に隠して持ち込んだとされる仏歯は当時の都アンラダープラに安置され、王命により毎年それを巡行させる祭礼（仏歯奉納の行列）が行われるようになりました。
中世にかけて王朝の都の移転（ポロンナルワ、ダンバデニヤ、ヤーパフワなど）に伴い、仏歯も各地に移されましたが、その都度新たな仏歯寺が築かれ祭礼も引き継がれていきました。
16世紀末に最後の王朝都となったキャンディに仏歯が安置されて以降、キャンディの地で毎年欠かさず祭りが続けられています（ただし19世紀にイギリス植民地支配下に入った際、一時的に形式が縮小された記録がありますが、英国統治者も祭りの継続自体は許可しました）。
現在のペラヘラ祭りの形が整えられたのは18世紀半ばのことです。キャンディ最後の王、キルティ・スリ・ラージャシンハ王の時代に、タイから招かれた高僧ウパーリ・テーラの進言を受け、これまでヒンドゥーの神々中心だった雨乞いの祭礼に仏歯行列を合流させる改革が行われました。
王は「今後、神々も人も仏陀に従うべし」と宣言し、以後ペラヘラ祭りは仏歯を先頭に、続いて4柱の守護神（仏教に取り入れられたヒンドゥー由来の神々：ナーター、ヴィシュヌ、カタラガマ、女神パッティニ）の寺院の行列が続く現在の構成となったのです。
この統合によって、祭りは仏教と土着信仰が融合した壮麗な国王主催の行事へと発展し、民衆も参加できる公開の祭典となりました（それ以前、仏歯は王族しか拝めない秘宝でしたが、この改革で人々が遠目にも崇敬できるようになったと言われます）。
こうして受け継がれてきたペラヘラ祭りは、スリランカのナショナルアイデンティティの象徴とも言える存在です。スリランカでは「この祭りを執り行わずして一年は終わらない」とも語られるほどで、現代に至るまで戦乱や疫病の年でさえ途絶えることなく挙行されてきました（2020～21年は新型コロナ禍で規模縮小や無観客での開催となりましたが、それでも儀式自体は継続されました）。
キャンディの人々にとってペラヘラ祭りは誇りであり、世界に誇る文化遺産です。事実、「世界で最も長い歴史を持つ伝統祭礼」の一つとしてその価値が認められつつあり、ユネスコの無形文化遺産への登録も検討されています。遠い昔から続く祈りと祝祭の時間に、私たち現代の旅行者も立ち会うことができる――ペラヘラ祭りは、まさに生きた歴史を体感できる貴重な機会なのです。
アジア三大祭りとの比較：他の有名祭典と何が違う？
ペラヘラ祭りは日本では「アジア三大祭り」の一つと紹介されることがあります。
厳密にどの祭りを指すか公式な定義はありませんが、一般的によく挙げられるのはスリランカのペラヘラ祭りの他にタイのソンクラーン（水掛祭り）と中華圏の春節（旧正月）です。それぞれ性格の異なる祭典ですが、アジアを代表するビッグイベントであることは共通しています。以下に3つの祭りの概要を比較してみましょう。
| 名称（国） | 開催時期 | 主な内容・特色 |
|---|---|---|
| ペラヘラ祭り （スリランカ） | 毎年7～8月 （満月の前約10日間） | 仏教の聖遺物である仏歯への崇敬と、雨乞いの伝統が融合した祭典。夜に象や舞踊団のパレードが連日繰り広げられる宗教行事であり観光イベントでもある。象に飾られた電飾や伝統舞踊など、文化的・視覚的な華やかさが特徴。 |
| ソンクラーン （水掛祭り）（タイ） | 毎年4月13日～15日頃 （タイの旧正月） | タイ全土で行われる旧正月の祝祭。仏像や年長者に水をかけて清める習慣が転じ、街中で誰彼構わず水を掛け合う一大イベントに発展した。タイ国内のみならず周辺国（ミャンマー、ラオスなど）でも類似の水掛け行事があり、近年は外国人観光客も多数参加する国際的なお祭り。開放的で陽気な参加型の祝祭が特徴。 |
| 春節（旧正月）（中国および中華圏） | 毎年1月下旬～2月中旬 （年による） | 中華圏における旧暦の正月（新年）。家族団欒で祝う行事だが、期間中は各地で爆竹や花火、獅子舞や龍舞のパレード、提灯祭りなど伝統色豊かなイベントも開催される。中国本土だけでなく台湾・香港、さらには東南アジアの華人コミュニティでも盛大に祝われるため、アジア最大級の祭りとの呼び声も高い。文化・宗教というより民族の新年行事としての色彩が強い。 |
上記のように、ペラヘラ祭りが宗教的儀式と伝統芸能の融合であるのに対し、ソンクラーンは水遊びを中心とした庶民参加型の祝祭、春節は新年を祝う民族的な年中行事という違いがあります。
ペラヘラ祭りは観光客も見物できますが基本的には敬虔な仏教行事であり、荘厳さとカラフルさを兼ね備えたところがユニークです。他の二つと比べると直接参加するというより観覧して体験する祭りと言えるでしょう。
ラクシャンまたペラヘラ祭りは一都市（キャンディ）でのみ行われる点も全国規模の他二つとは異なります。しかしいずれの祭りも、その国・地域の文化や信仰を象徴するビッグイベントであることに変わりはありません。
まとめ：ペラヘラ祭り攻略のポイント
今回のポイントをまとめると以下となります。
- 2025年の開催日程は7月30日～8月8日！ 毎晩19～20時頃から象やダンサーの行列がキャンディ市内を巡ります。最終夜（8月8日）は特に盛大なので見逃せません。旅行日程はこの期間に合わせて計画しましょう。
- 祭り観覧は準備と早め行動が鍵。 観覧場所は開始1～2時間前には確保を！ 特に週末や最終夜は混雑必至です。貴重品管理や雨具の携行、水分補給など基本的な準備も忘れずに。地元の人々と一緒に熱気あふれる雰囲気を楽しみましょう。
- 宿泊は早期予約＆ロケーション重視。 会場近くのホテルは便利ですが競争率高め。クイーンズ・ホテルなどパレード沿いの宿は人気なので早めに予約を。郊外宿の場合は夜の帰路（徒歩圏内かどうか）も考えて選択を。
- アクセスは鉄道がおすすめ。 コロンボ～キャンディ間は鉄道が快適で景色も◎。指定席は事前予約を。空港到着が夜遅い場合やグループ旅行なら車チャーターも便利です。キャンディ到着後は夕方までに市内移動を済ませ、道路封鎖に備えましょう。
- 周辺観光も計画的に。 仏歯寺の拝観はぜひ体験を。祭り以外にもキャンディ湖散策や王立植物園、郊外の紅茶農園訪問など見所多数。日程に余裕があればシーギリヤやヌワラエリヤ方面への足延ばしも検討して、スリランカ旅行を満喫してください。
スリランカのペラヘラ祭りは、古の時代から受け継がれる祈りと伝統芸能が一体となった唯一無二の祭典です。夜の闇を照らす象の行列と響き渡る太鼓の音、その場に居合わせた者だけが味わえる感動は計り知れません。
是非とも万全の準備でこの特別なイベントに臨み、スリランカ文化の真髄を肌で感じてください。きっと一生の思い出になる旅となるでしょう。
