
スリランカは美しい自然や世界遺産、美味しいカレーなど魅力たっぷりの国ですが、「治安は大丈夫かな?」と不安に感じる方も多いですよね?!
特に近年は経済危機に伴うデモや、少し前には大きなテロ事件も報道され、「スリランカは危ない?」というイメージを持つ人もいるかもしれません。



実際のところ、スリランカの治安状況はどうなのでしょうか?日本の外務省やアメリカ国務省の渡航情報、世界の治安ランキング、そして現地事情に詳しい情報をもとに、最新のスリランカ治安情報をまとめました。
注意すべきエリアや具体的なトラブル事例、防犯対策のポイントまで網羅していますので、旅行前の不安解消にぜひお役立てください。それでは詳しく見ていきましょう!



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スリランカの最新治安状況と渡航情報
外務省の危険度レベルは「レベル1:十分注意」
まず、日本の外務省が発表しているスリランカの渡航危険度を確認しましょう。
2025年5月現在、スリランカ全土の危険レベルは最も低いレベル1(十分注意してください)に設定されています。





これは「渡航は制限されないが、注意は必要」という段階で、2022年の政情不安時から継続してレベル1が維持されています(※一時的に情勢が悪化したものの、その後落ち着きを取り戻したため)。
外務省海外安全ホームページのポイントによれば、2022年には深刻な経済危機をきっかけに各地で大規模な抗議デモやストライキが頻発し、一時は空港や公共交通機関にも影響が出るほど混乱しました。
そのため当時「スリランカは危ない国かも…」という印象が広まりましたが、2023年以降はデモの沈静化や経済状況の改善が見られ、現在は大規模な騒乱は起きていません。



とはいえ政情不安そのものが完全に解消されたわけではなく、増税や政策に反対する突発的な抗議活動などが起こる可能性は残されています。
渡航時には最新のニュースにも目を配り、政治集会やデモが行われている場所には近づかないようにしましょう。
一方、2019年4月にはコロンボなど複数都市で同時多発爆破テロ事件(いわゆる「イースター襲撃」)が発生し、現地の教会や高級ホテルが標的となって200名以上が死亡する痛ましい被害が出ました。


この事件では旅行者や在住外国人も巻き込まれ、発生直後には多くの国が自国民に一時渡航中止勧告を出したほどです。現在では当局による厳重な治安対策の強化もあり、大規模テロの可能性は低いとされています。



しかし「テロが二度と起きない」と断言できるわけではなく、宗教や民族間の緊張が背景に残る部分も指摘されています。
実際、2018年には仏教徒とイスラム教徒の衝突で非常事態宣言が出た地域もありました。観光中も人が集まる場所や宗教施設では不審な動きに注意し、常に周囲への警戒は怠らないようにしましょう。
アメリカ国務省の渡航情報は「レベル2:要警戒」
日本より厳しめですが、アメリカ国務省は2024年10月時点でスリランカを「レベル2:旅行は慎重に(より高い注意が必要)」とする渡航情報を出しています。
これは4段階中上から2番目のリスク評価で、理由として「政治的な騒乱(民衆の抗議活動)」および「テロのリスク」が挙げられています。





国務省の情報では「スリランカでは経済・政治状況への抗議デモがいつでも発生し得る。過去には警察が放水や催涙ガスで鎮圧した例もあり、平和的な集会でも突然暴徒化する可能性があるので近づかないように」と注意喚起されています。
また「スリランカでは予告なくテロが発生し得る。観光地、交通ハブ、市場、政府施設、ホテル、レストラン、宗教施設など公共の場所が狙われる可能性がある」とも述べられています。
このように、アメリカの基準では引き続き「注意深く行動すること」が推奨されています。



もっとも、レベル2は「渡航中止」というほど深刻な段階ではなく、「周囲に気を配り注意して旅行すれば大丈夫」という位置付けです。
実際、多くの欧米諸国や近隣国も「スリランカには高い警戒を払えば旅行可能」との勧告を出しています(例えばカナダ政府も「渡航の際は高度な注意を」(Exercise a high degree of caution)としています)。
基本的な防犯対策を取った上で行動すれば、過度に恐れる必要はないでしょう。
犯罪発生状況:日本より治安は悪いが「アジアの中では普通」レベル


「スリランカの治安は悪いのか?」という点について、データを見てみましょう。
日本の外務省情報によれば、スリランカの犯罪発生率は日本より高く、例えば人口あたりの殺人発生率は日本の約3.5倍、強盗は約11倍にもなります。
スリランカ警察の統計では2021年に認知された犯罪件数は約3万5千件(殺人約500件、強盗約2000件)と報告されています。



数字だけ見るとギョッとしますが、これはあくまで日本と比べた場合です。
東南アジアや南アジア全体で見れば、スリランカの治安水準は決して特別に悪いわけではなく、「ASEAN諸国と同程度」とも言われます。



実際、世界各国の平和度を比較した2023年版「世界平和指数(Global Peace Index)」では、スリランカは163か国中100位前後と中位レベルであり、治安が極端に悪い国には該当しません(日本は6位でトップクラス)。
また近年の傾向として、スリランカの治安は内戦終結(2009年)後に大幅に改善し、2010年代後半は安定傾向だったことが各種指標から読み取れます。一時的に経済危機で治安が悪化した2022年前後もありましたが、その後は持ち直しています。
つまり、スリランカの治安は「日本ほど良くはないが、注意して行動すれば旅行を楽しめるレベル」であると言えるでしょう。次章からは、具体的にどのエリアでどんな注意が必要か、どんな犯罪が起きやすいか、といったポイントを詳しく見ていきます。
エリア別の治安傾向:ここに注意!
スリランカ国内で治安上特に注意すべき地域や場面について解説します。外務省の危険情報ではスリランカ全土がレベル1ですが、地域によってリスクの種類が異なります。



観光中によく訪れる都市部と、かつて内戦があった地域、それぞれで留意点があるので押さえておきましょう。
コロンボなど都市部:観光客狙いのスリや詐欺に警戒
スリランカの首都コロンボや主要都市(キャンディ、ゴール等)の中心部は、観光スポットや繁華街がある一方でスリ(掏り)や置き引き、ひったくりといった軽犯罪が日常的に発生しています。


特に旅行者は狙われやすく、「親切に写真を撮ってあげる」と近づいてスマホを盗まれる、レストランでテーブルに置いたスマホが消えている、バッグのファスナーが開いている隙に財布を抜き取られる等の被害報告があります。
実際に、日本人旅行者も「日本語で話しかけて油断させ、貴重品を盗む」といった手口の被害に遭っています。コロンボ市内の観光名所では観光客目当ての客引きや物乞いもいるため、道端で安易に立ち止まって対応しないことが大切です。



有名な紅いモスク(ジャミ・ウル・アルファー)前でも「お腹が空いた」と近寄り金銭を要求する者がおり、食べ物を渡そうとしても「金をくれ」と執拗にせがまれたという体験談もあります。
観光地では「困っている人を助けなきゃ」と思わせるような声かけにも警戒し、疑わしい場合はきっぱり断りましょう。



都市部では昼間でも油断禁物ですが、夜間はさらに要注意です。
明かりが少なく人通りのない路地は昼でも避け、夜間の一人歩きは性別に関係なくリスクが高まります。コロンボ中心部でも、夜遅くに出歩く際は近場でも徒歩は避け、できるだけタクシーや配車アプリ(UberやPickMeなど)を利用するようにしましょう。
特に女性旅客は後述するように、夜に出歩くだけで周囲の注目を集めやすくなります。「ちょっとくらい平気でしょ」は禁物と心得てください。
北部・東部:内戦の爪痕に注意(地雷原・検問など)


スリランカ北部州や東部州、北中央州の一部は、かつて長引いた内戦(1983~2009年)で激戦地となった地域です。



治安自体は内戦終結後大きく改善し、現在これらの地域への旅行も可能ですが、今なお局地的に地雷が埋まったままの場所が残存しています。
政府や国際機関による地雷除去作業が続いており、主要な道路沿いなどは安全ですが、未だ「立入禁止・地雷原」と表示されたエリアも点在しています。
観光でジャフナ(北部の主要都市)や東部の遺跡群などを訪れる際は、不用意に草むらや森の中に入らないことが鉄則です。地雷原の警告看板を見かけたら決して近付かず、写真目的でも立ち入り禁止区域には踏み込まないようにしてください。



また、洪水や土砂崩れで地雷が流出して思わぬ場所に移動している可能性もあります。不審な金属片や箱など見つけても絶対に触れず、近くの警察や施設に知らせましょう。
これら内戦影響地域では、治安維持のために軍や警察による検問所や道路封鎖が設けられていることがあります。



旅行者が通りかかった際も検問で停車を求められる場合がありますが、落ち着いてパスポートなど身分証を提示し、指示に従えば問題ありません。
パスポートの原本は紛失リスクを考慮し普段は携行せず、コピーを持ち歩いて提示するのが望ましいです。万一原本の携行を求められる場面もあるかもしれませんが、少なくともコピーとビザページのコピーは常に持参しておきましょう。
ジャフナなどでは復興が進み観光客も増えていますが、農村部などでは今も軍が駐屯していたりします。



現地で警官や兵士に声をかけられたら素直に対応し、指示がある場合は従ってください。これら注意点を守れば、北部・東部の旅も安全に楽しめるでしょう。
スリランカで起こり得るトラブルと防犯対策
続いて、スリランカ旅行中に起こりやすい具体的なトラブルの種類と、その対策方法を解説します。「スリランカ 治安 悪い」と検索すると怖い事件の話も出てきますが、適切な予防策を取れば被害に遭う確率はぐっと下げられます。



それぞれのケースごとに事例と対策を確認しておきましょう。
スリ・置き引き・ひったくり:隙を見せない工夫を
スリランカ旅行で最も注意すべきなのが窃盗被害(スリ、置き引き、ひったくり)です。冒頭でも触れた通り都市部では日常茶飯事と言えるほど頻発していますが、観光客も例外ではありません。例えば、日本人の被害例として次のようなケースが報告されています。
- 公共交通機関でのスリ:列車・長距離バス・航空機内や駅構内で、荷物から目を離した隙にパスポートや財布を抜き取られた。
- 街中でのひったくり:歩いていたら後ろから近づいてきた男に首にかけていたネックレスを引きちぎられ、そのまま走って逃げられた。
- バス降車時の強奪:乗合バスを降りた直後、現金や貴重品の入ったバッグを奪い去られた。
- 宿での盗難:ゲストハウスで部屋に置いていた貴重品入りのバッグがいつの間にか盗まれた。
- 飲食店での昏睡強盗:レストランで日本語で話しかけてきたスリランカ人男性と一緒に飲んでいたところ、意識が朦朧となり、気づいたら現金等を入れた鞄を盗まれていた。
枚挙にいとまがありませんが、共通しているのは「被害者が一瞬でも気を緩めた隙」を突かれている点です。こうした被害を防ぐには以下の対策を徹底しましょう。
- 貴重品から目と手を離さない:ちょっとトイレに…と荷物を置きっぱなしにしない。常に手元か視界に入れておく。
- バッグは体の前に:ひったくり防止のため、リュックやショルダーバッグは前側に抱える。簡単にひったくられない工夫を。
- 宿の安全を確認:安宿を利用する場合、ドアや窓の鍵の頑丈さ、人の出入り管理などセキュリティ状況をチェック。怪しければ宿を変更するか、貴重品は自分で管理して常に身につける。
- 日本語で話しかけられても警戒:親しげに近づいてくる見知らぬ人には要注意。日本語や英語でフレンドリーに話しかけられても、むやみに信用しない。特に「今何してるの?」「明日どこ行くの?」など行動予定を探るような質問には注意し、個人情報をベラベラ教えない。
- 飲み物・食べ物の管理:現地で知り合った人と飲食する際も、自分の飲み物や食べ物から目を離さない。一度でも目を離したら、例え飲みかけでも口にしないくらい用心深く!



基本は「どんな時も貴重品と自分の身は自分で守る」という意識です。スリランカの人々は概ね親切ですが、「困っているようだから手伝ってあげよう」と善意で声をかけてくる人ばかりとは限りません。
特に流暢な日本語で近寄ってくる人は要注意です(観光客を狙う常套手段です)。笑顔でフレンドリーに話しかけられても、心のガードは下げすぎないようにしましょう。
強盗・性犯罪などの凶悪事件:深追い厳禁&慎重な行動を


日本人が巻き込まれたケースは少ないものの、強盗や性的暴行といった凶悪犯罪被害もゼロではありません。特に女性旅行者にとっては看過できないリスクですので、いくつか実例を挙げて注意喚起します。
- トゥクトゥク運転手による性的暴行:流しの三輪タクシー(トゥクトゥク)に乗った女性旅行者が、目的地とは違う郊外へ連れて行かれ、降ろされた先で運転手に乱暴された。
- ホテル従業員による性的暴行:滞在先ホテルの従業員が客室に忍び込み、宿泊客の女性に性的暴行を加えた。
- 見知らぬ侵入者による強盗傷害:ホテル宿泊中の夜、ドアをノックする音がして同行者だと思い扉を開けた瞬間、知らない男に殴打され(金品を奪おうと侵入された)。
- 空港での強盗未遂:バンダラナイケ国際空港内のトイレで、複数の男に「金を出せ」と脅され、財布とカメラを奪われた。
正直どれも恐ろしいですが、幸いこれらは頻発するものではなくレアケースです。



ただ「絶対自分は遭わない」とも言い切れません。万一こうした凶悪犯罪に遭遇しそうになった場合、一番大事なのは自分の命と身体の安全です。無理に抵抗せず、相手の要求に従ってでも逃げ延びることを優先してください。
スリランカでは銃器の所持は厳しく制限されていますが、狂気じみた犯人に出会ったら何をされるか分かりません。
そもそもこうした被害に遭わないためには、次のような対策が有効です。
- 夜の一人歩きをしない:男女問わず、夜間に単独行動しなければならない場面は極力避ける。どうしても外出が必要な場合も、人通りの少ない場所は避け、短距離でもタクシー等を利用する。
- 流しのタクシーは避ける:特に女性だけや一人旅の場合、道で拾うトゥクトゥクは利用しない。配車アプリ(PickMeやUber)で手配するか、信頼できるタクシー会社・ホテル経由で車を呼ぶ。
- ホテルの部屋でも用心:ホテル客室内では必ず内鍵やドアチェーンをかける。ノックがあってもチェーン越しに対応し、知らない相手なら安易に開けない。たとえスタッフや業者を名乗っても、自分が呼んだ覚えがなければフロントに確認するまで扉を開けないようにする。
- 人気のない場所に立ち入らない:遺跡観光などでも人がいないエリアで一人にならない。ビーチ等でも夜は閑散として危険なので避ける。
幸い、スリランカではこうした凶悪犯罪の発生率自体は高くありません。都市部でも警察や軍がパトロールしていますし、地元民も外国人観光客に危害を加えるのは大問題だと認識しています。



「最悪こういうこともあり得る」程度に頭に入れつつ、過度に恐れすぎないことも大切です。
詐欺・ぼったくり・金銭トラブル:おいしい話ほど要警戒
海外旅行でありがちな詐欺や金銭トラブルも、スリランカではいくつか報告されています。
特に日本人は「親日的」と言われるスリランカでつい警戒を解いてしまいがちですが、それにつけ込む悪い人も一部にはいます。実例を見てみましょう。
- 宝石店連れ込み詐欺:コロンボ市内を歩いていたら「特別なお祭りをしているお寺に案内するよ」と日本語で近づいてきた現地人に誘われ、トゥクトゥクに同乗。着いた先は寺ではなく宝石店で、高額な宝石を買わされそうになった上、帰りのトゥクトゥク代も法外な額を請求された。
- 偽の不動産投資話:現地旅行会社手配のツアーに参加中、ガイド兼ドライバーの男性から不動産購入話を持ちかけられた。好条件に思えて大金を支払ったものの、その後彼と連絡が取れなくなり、当然物件など存在しなかった。
- 土地売買詐欺:スリランカ人の友人に「安く土地を買える」と持ちかけられ、大金を出した。しかし土地は自分名義にならず、出資金も戻らないまま友人は音信不通に。
- 結婚詐欺・恐喝:日本人女性がスリランカ人男性にプロポーズされ交際。男性の頼みでお金を貸したところ、その後一方的に婚約破棄される。返金を求めたら暴力を振るわれ、さらに多額の金を脅し取られた。



どれも日本でも起こりそうな詐欺ですが、異国の地では対処が難しく厄介です。こうしたトラブルを避けるための心得は次の通りです。
- うまい話にはNO!:「特別に◯◯できる」「◯◯を安く買える」など、一見魅力的な誘いほど疑ってかかる。はっきり断る勇気を持ちましょう。
- 単独行動時は慎重に:一人旅で声をかけられた場合、相手と二人きりの状況を作らない。人通りの多い場所で話を聞き、少しでも怪しければその場を離れる。「ちょっとここ入ってお茶しよう」は罠と思うくらいで丁度良いです。
- 大金の絡む話は専門家に相談:投資話や高額商品の購入話が出たら、その場で決めず第三者(弁護士等)に相談しましょう。現地では日本人相手に法外な値段を吹っかけてくるケースも多々あります。冷静に、一度持ち帰って判断を。
結局のところ、「怪しいな?」と思ったらきっぱり断って関わらないことが一番です。相手がどんなに親切そうでも、旅先では警戒心を忘れないようにしましょう。
違法ドラッグの誘惑:絶対に近寄らない
南アジアではよくある手口ですが、スリランカでも旅行者をドラッグに巻き込む罠が報告されています。とくに大麻は現地でも出回っており、日本人旅行者が知らずに関与してしまうケースがあるので注意が必要です。
実例として、「街中で知り合った現地人からタバコを勧められて一緒に吸ったら、それが実は大麻で、現行犯逮捕されてしまった」というケースがありました。



本人は違法ドラッグと知らなかったとはいえ、スリランカの法律では所持・使用は厳罰ですので言い逃れできません。そのスリランカ人も一緒に逮捕されていますが、「誘われて吸っただけ」では済まないのが現実です。
スリランカの法律では麻薬類の所持・持ち込み・売買には最高で死刑もあり得るほどの厳罰が科せられます。過去には日本人が麻薬所持で逮捕・収監され、罰金と国外退去処分になった例もあります。
したがって旅行者は絶対にドラッグに関わらないことが鉄則です。見知らぬ人から差し出された紙巻きタバコや謎の薬草、高級なお茶だと言って売りつけてくる怪しい物などには手を出さない。万一「ちょっとこれ運んでくれない?」などと頼まれても絶対に断りましょう。
要するに、「自分はドラッグなんてしない」と思っていても、巻き込まれる可能性はゼロではないということです。甘い誘い文句に乗せられないよう、常に用心してください。
クレジットカード不正利用:カード払いはお店選びを慎重に
日本人旅行者の中には、クレジットカードの不正利用(スキミング被害)に遭った例もあります。例えば「とあるレストランでカード決済をしたら、後日不正利用が発覚した」というケースが報告されています。



スキミングとは、カード情報を盗み取って不正に複製する犯罪手口で、旅行者が被害に遭うと帰国後に高額請求されて初めて気づくこともあります。
スリランカに限らず海外ではカード利用に慎重になるべきですが、特に信頼のおけない店舗や露店、市場などで安易にカードを使わないようにしましょう。



高級ホテルやちゃんとしたレストランではクレジットカード払いも一般的ですが、怪しげな店では「カードは使えない」と言って現金払いに切り替えるのも一つの手です。
どうしてもカードを使う際は目の前で決済処理をしてもらい、カードを店員の手元から離さないこと(裏に持って行かせないこと)が被害防止につながります。
また、ATMでキャッシングする際にもスキミングには注意が必要です。ATMに不審な装置が取り付けられていないか確認し、人通りの多い場所にある銀行ATMを利用するようにしましょう。暗証番号を覗き見されない配慮もお忘れなく。
タクシー・移動時の注意:ぼったくり&乗車トラブルを防ぐ
異国での移動に欠かせないタクシーや三輪タクシー(トゥクトゥク)ですが、スリランカでは観光客相手のぼったくりが発生しています。また前述のようにトゥクトゥク運転手による性犯罪事件もありました。そこで、安全かつ適正価格で移動するためのポイントをまとめます。
- 信頼できる配車手段を使う:なるべくPickMeやUberなどの配車アプリを活用しましょう。またホテルやレストランに頼んでタクシーを呼んでもらうのも安全策です。街中で客待ちしているタクシーやトゥクトゥクは避けた方が無難です。
- トゥクトゥクは利用シーンを選ぶ:特に女性だけ・一人だけで乗る場合や、夜間の利用は避けるのが賢明です。乗るなら昼間で人通りの多い場所から乗る、2人以上で乗る、といった工夫を。
- 乗る前に時間と料金を確認:行き先を告げたら所要時間と概算料金を確認しましょう。タクシーであれば必ずメーターを使用してもらい、メーターが無い車は断ってOKです。トゥクトゥクはメーターが無い場合が多いので、事前交渉で納得できる金額を決めてから乗車してください。
- 相乗り強要に注意:まれに走行中のトゥクトゥクに第三者が同乗してくる(=相乗りを強要される)ケースがありますが、これは危険信号です。見知らぬ同乗者が突然乗ってきたらすぐ降りるようにしましょう。強盗グループの場合もあり得ます。
- 交通ルールと運転:スリランカの交通は左側通行で日本と同じですが、運転マナーは日本ほど良くありません。バスやトラックが猛スピードで追い越していくことも。長距離移動の際は運転手に無理のない運転を依頼し、自分もシートベルトを締めましょう。バイクやトゥクトゥク利用時はヘルメット着用も必須です。
移動は旅の快適さに直結します。多少割高でも安全な移動手段を選ぶことで、ぼったくりによる嫌な思いや事故のリスクを減らしましょう。



私の場合は、スリランカタクシーサービスを活用してスリランカの観光スポットを巡りました。とても快適ですし、良い選択肢になると思います!


女性旅行者へのアドバイス:安心して旅するために





女性がスリランカを旅行する際に特に気を付けたいポイントをまとめます。
スリランカは比較的穏やかで人懐っこい国民性ですが、日本人女性にとっては油断できない場面も存在します。文化や習慣の違いから生じる注意点もありますので、以下に整理しました。
男性からの視線や声かけが多いと感じても慌てない
スリランカでは外国人、とりわけ女性の一人旅はまだ珍しい部類に入ります。そのため、女性が一人で歩いていると多くの視線を感じたり、気軽に男性に話しかけられたりすることがよくあります。



これは必ずしも悪意や下心とは限らず、好奇心や親しみから来る場合もあります。しかし、日本人女性にとってはしつこく絡まれると威圧感や不快感につながることも多いでしょう。
現地男性が「どこから来たの?」「一緒に写真撮っていい?」などと次々話しかけてくることがありますが、愛想よく対応しすぎないことが肝心です。
ニコニコ笑って相手をすると「好意がある」と誤解される可能性もあります。基本は目を合わせすぎず、にこにこしすぎず、必要最低限の返答で流すか無視するのがベターです。感じが悪いかな?と心配になるかもしれませんが、自分を守るためと割り切りましょう。
観光地では女性を狙った軽犯罪にも注意
前述のようにスリや置き引きは観光地で日常茶飯事ですが、女性観光客は「狙いやすいターゲット」と見なされがちです。荷物が小さかったり、リゾートファッションで警戒心が薄そうに見えたりすると付け込まれることがあります。
例えば、「写真を撮ってあげるよ」と親切そうに近づいてきた相手にスマホを盗られたり、一緒に写真を撮った後でしつこく連絡先交換を迫られたり、といった事案もあります。
女性旅行者がこうした被害に遭わないためには:
- 貴重品は常に体の前に持つ:これは男女共通ですが、特に女性は小さめのバッグを後ろに回して持ち歩かないように。
- 知らない人と距離を保つ:道を尋ねられたりしても、相手に近づきすぎない。腕を掴まれたりしない距離感を意識しましょう。
- 人けのない場所に一人で行かない:フォトジェニックなスポットでも、人がいない場所での自撮りなどは避ける。誰もいない海岸で日光浴、なんてのも危険です。
また、ビーチやプールなど肌の露出が増える場面では特に気を付けましょう。



現地の男性グループが物珍しそうに周りに集まってきたり、スマホで盗撮されるケースもあります。ヨーロッパのビーチのような感覚で開放的な格好をすると目立ちすぎてしまうのです。
リゾート地でも極端に露出の高い服装は避け、周囲への配慮を忘れない方が安全です。
宗教・文化の違いを理解して行動を
スリランカは多宗教国家で、国民の約7割が仏教徒、そのほかヒンドゥー教徒やイスラム教徒、キリスト教徒が混在しています。
特に女性に対する価値観は全体的に保守的で、伝統的な男女観が根強く残っています。そのため、日本では当たり前の行動でもスリランカでは「不適切」「不道徳」と受け取られることがあります。
例えば:
- 肌の露出が多い服装で街を歩くと不評です。肩や太ももが出るような恰好は避け、短パンの場合でも膝丈程度にするなどした方が無難です。
- 男性に気さくに話しかけると「自分に気があるのかな?」と誤解されることがあります。特に女性から男性への積極的な交流は現地ではあまり一般的でないため、勘違いさせない距離感を保ちましょう。
- 寺院や宗教施設への立ち入りには服装規定があります。ノースリーブや短パンでは基本的に入場NGですし、肌を隠すショールなどを持参すると安心です。
実際に、スリランカ国旗を悪意なく加工してしまった日本人旅行者が逮捕・長期勾留される事件も過去に起きています。
また仏像や寺院で不適切なポーズで写真を撮った場合なども「不敬だ」として重い刑事罰が科される可能性があります。スリランカでは仏教関連のものに対する敬意は非常に厳格で、例えば仏像の前で背を向けて写真を撮る行為はご法度です。
同様に靴を履いたまま寺院内に入ることや僧侶に軽率に触れたり話しかけたりすることも大変失礼にあたります。



女性旅行者に限った話ではありませんが、「郷に入っては郷に従え」の姿勢は常に持っておきましょう。現地の文化や宗教的価値観を理解し、敬意を払った行動を心がければ、余計なトラブルに巻き込まれるリスクもぐっと下がります。
その他:自然災害と衛生面にも気を配ろう
治安とは少しズレますが、安全に旅行するために自然災害や衛生面についても触れておきます。スリランカは熱帯性気候でモンスーン(季節風)の影響を強く受けます。



そのため毎年のように豪雨やサイクロンによる洪水・土砂崩れが各地で発生し、大きな被害をもたらしています。特に5~9月の南西モンスーン期と12~2月の北東モンスーン期は雨量が多く、低地での冠水や土砂災害に注意が必要です。
旅行中も天気予報やニュースには耳を傾け、大雨の予報が出ている地域への移動は見合わせるなど柔軟に計画を変更しましょう。また山岳地帯に行く場合、ヒル(山蛭)対策に長袖長ズボンや虫除けスプレーを用意すると安心です。
衛生面では、暑さで食べ物が痛みやすいため食中毒に注意しましょう。屋台飯は美味しいですが、生水やカットフルーツ、生焼けの肉・魚は避けた方が安全です。幸いスリランカは日本人にとって深刻な伝染病リスクは高くありませんが、蚊が媒介するデング熱が散発的に報告されています。



蚊除け対策(虫よけ塗布や蚊帳の使用)はしっかり行いましょう。もちろんコロナ禍以降はマスクや手洗い等の基本的な感染症対策も引き続きお忘れなく。
最後に、旅行保険には必ず加入しておきましょう。盗難や病気だけでなく、万一のテロ・騒乱による旅行中断などもカバーできるタイプだとより安心です。備えあれば憂いなしで、多少お金がかかっても安全には代えられません。
万が一トラブルに遭った時の対処
どれだけ注意していても、不運にもトラブルに巻き込まれてしまう可能性はゼロではありません。万が一被害に遭ってしまった場合の対応策も事前に頭に入れておきましょう。
まず、何か被害に遭ったら最寄りの警察署に届け出ることが基本です。例えばパスポートの盗難に気付いたら、すぐに警察へ行き盗難届(ポリスレポート)を発行してもらってください。



この警察の証明書がないとパスポート再発行手続きや保険請求ができません。盗難届の発行を受けたら、在スリランカ日本大使館へ連絡しましょう。大使館ではパスポート再発行や緊急時の支援について案内してくれます。
スリランカの緊急連絡先番号は日本と少し異なるので注意が必要です。以下に主要な連絡先をまとめます。
機関・サービス | 電話番号(スリランカ) |
---|---|
警察(緊急) | 119 |
消防(緊急) | 110 |
救急車 | 1990 |
観光警察(ツーリストポリス) | 1912 |
在スリランカ日本国大使館 | +94-11-269-3831(代表) |
スリランカでは警察への緊急通報が119番、消防が110番と日本とは逆になっています(うっかり日本の感覚で110番にかけると消防に繋がるので注意)。救急車は総合緊急サービスの1990番が便利です。観光客向けのツーリストポリス(観光警察)専用番号は1912番となっています。コロンボ市内では別途直通番号(警察011-243-3333、消防011-242-2222)もありますが、基本は上記番号でOKです。
在スリランカ日本大使館(https://www.lk.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html)の代表電話は+94-11-269-3831~3です(国番号94、コロンボ市外局番11)。日本大使館に連絡すれば、盗難・紛失時の各種手続きや、必要に応じて日本への連絡などサポートを受けられることもあります。被害に遭って動揺しているとは思いますが、警察への届出 → 大使館へ相談という流れを踏むようにしましょう。



なお、大きな災害やテロ・暴動など緊急事態が発生した場合、外務省や大使館から在留邦人・旅行者向けに緊急情報が発出されます。旅行前に「たびレジ」(外務省の海外旅行登録サービス)に登録しておけば、メールで最新情報や緊急連絡を受け取ることができます。
3ヶ月以上の長期滞在者は在留届の提出義務がありますが、短期旅行者でも任意登録可能なので、安全のためぜひ活用してください。
まとめ:注意を怠らず、安全第一で楽しい旅を!
ここまでスリランカの治安情報を総合的に解説してきました。最後にポイントを簡単に振り返ります。
- スリランカ全土の危険度レベルは1(十分注意)。過去にデモやテロもあったが、現在は落ち着きを取り戻している。
- 日本より犯罪率は高いが、東南アジアの平均的な水準。基本的な防犯対策をすれば過度に恐れる必要はない。
- 都市部ではスリや詐欺が頻発。常に貴重品に注意し、親切な誘いにも警戒を。
- 北部・東部では地雷原に注意。警告表示を無視しない、立ち入らない。
- 具体的なトラブル事例として、窃盗(スリ・置き引き)、強盗・性犯罪、詐欺、ドラッグ、カード被害などがある。それぞれ対策を講じることでリスクを下げられる。
- 女性旅行者は特に慎重に。夜の一人歩き禁止、過度な露出は避ける、しつこいナンパは笑顔で応じない。
- 文化・宗教を尊重。寺院でのマナーや国旗など国の象徴への敬意を忘れずに。
- 困ったときの連絡先(警察119、観光警察1912、日本大使館+94-11-269-3831等)を把握し、たびレジ登録など有事の備えもしておく。
スリランカは人が温かく、素朴な魅力にあふれた素敵な国です。治安に関しても、しっかり注意点を押さえて行動すれば十分に安全に旅行を楽しめます。



ぜひ安全第一で計画を立て、不安を自信に変えてください。準備万端で臨めば、美しいスリランカでの旅はきっと素晴らしい思い出になることでしょう。

